齟齬

社会とマイノリティの「齟齬」を描く御厨鉄のブログです。

「使えない」左翼という存在

本物の、純正の反逆は洗練された左翼知性に乗っ取られる。……彼らは反逆を操作し、裏切り、そして自らの目的のために変態化させる。左翼はこれをなんども繰り返している。人々はいつになったら学習するのだろうか?(Marcos Loves Modernization

左翼――それは小うるさいインテリ。人種差別や性差別問題といった「瑣末事」にうんざりするほど熱心な。

 

本来、左翼は革命家を意味します。既存のシステムを崩壊させ、新しい社会秩序を生みだすのが左翼です。

 

しかし近年では、動物の権利を守るとか、男女平等を主張する、そういったことが左翼思想になっている。男女平等や動物愛護に左翼は大変熱心で、他者に対する抑圧や攻撃にまで発展することがあります(ex. ポリコレ棒、捕鯨反対運動)。

 

彼らには本質的な問題解決はできません。社会に革命をもたらそうとは考えていないからです。資本主義や産業技術のシステムを維持したままで、限られた範囲内での変革を目指している。

左翼は完全にメディア・プロパガンダに洗脳されており、彼らはそれらの産業技術システムそれ自体の価値観の内部においてのみ「反逆」する。(Letter to a Turkish anarchist

 

性差別や同性愛差別、人種差別などの「ポリティカル・コレクトネス」が徹底して改善したところで、社会の本質的な問題が解決されるわけではありません。

 

……というようなことを天才爆弾テロリスト、テッド・カジンスキーが言っていたので、見ていきます。

 

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若かりし頃のセオドア・カジンスキー。当時IQ167の天才児。

 

原文は匿名のドイツ人に対する手紙です。

Ted Kaczynski Letter to an Anonymous German

左翼はなぜ「反」革命的か

まずおさらい。ユナボマーことテッド・カジンスキーの思想は、「産業技術システムは人類の自由を奪う」というものです。

 

彼は技術が本質的に支配の強化に用いられており、技術の発展によって人々の自由は奪われ、不幸な人生がもたらされると考えました。 (ユナボマー・マニフェストを読む―産業技術と自由

左翼は本質的な問題から目をそらす 

以下引用していきます(強調は私による)。

女性、ホモセクシャル、人種、少数民族、動物などの抑圧と主張されている左翼による被害者化victimizationを特徴とする問題に関しては、ふたつの問題が存在する。

第一に、これらの問題はテクノロジーの問題に対する注意をそらす。技術システムに向かうはずのエネルギーが、性差別や人種差別といった無関係な問題に代替的に消費される。

したがってもしこれらの問題は完全に解決できるならそうある方がよいだろう。この場合、彼らはテクノロジーの問題から目をそらすことができないからだ。

しかし、革命家は性差別や女性差別の問題を解決しようとしてはならない。これらの問題に対して言及することは、テクノロジーの問題から注意をそらすことになるからだ。

男女平等やマイノリティに関する言及は、根本的な問題――つまりテクノロジーから目をそらす働きがあるとカジンスキーは主張します。 

さらには、革命家は女性やマイノリティなどに対する問題の解決にはほとんど寄与しえないだろう。なぜなら技術社会はそれ自体がそれらの問題を解決するために機能しつつあるからである。毎日、(少なくともアメリカでは)メディアは女性は男性と平等であり、同性愛者は尊重されるべきであり、すべての人種は平等な扱いを受けるべきだと私たちに教えている。

実際、「男女平等は良いことだ」「女性は男性と対等だ」というようなことは、学校教育やマスメディアでも教えられていることです。

 

セクシズムが現代でなぜ緩和しつつあるのか? については「Morality and Revolution」にて書かれていたので引用します。

伝統的なセクシャルな道徳を緩和したのは、権力を持つ人々がその緩和がシステムの機能に必要ではなく、それを維持することで摩擦と緊張を生み、システムを傷つける恐れがあるからである。 

(詳細は「セオドア・カジンスキーと道徳~後編 - 齟齬」)

 

左翼はそのプロット内で男女平等を主張しているに過ぎません。

 

したがって、革命家たちの働きかけは余計なものとなるだろう。女性や同性愛者、人種的マイノリティなどの被害者化の問題に狂信的に集中することを通じて、左翼は、テクノロジーの問題からこれらの問題へと大幅に注意をそらすことになる。しかし革命家にとって左翼の活動を妨害することは反生産的になるだろう。なぜならそのような妨害はこれらの問題に対する論争を強め、さらにテクノロジーの問題から注意をそらすことになるからだ。

 

その代わりに、左翼の被害者化の問題に対するエネルギー消費は無駄であり、そのエネルギーはテクノロジーの問題に対して消費しなければならないと、革命家は繰り返し指摘し強調しなければならない。

差別への批判に群がる左翼

左翼は、被差別者のところに群がります。

被害者化の第二の困難はそのような問題は、それ自体が左翼にとって魅力的であるということである。「マニフェスト」で主張したように、左翼は革命家としては使い物にならない。彼らのほとんどは既存の社会形態を放棄しようとは本当には望んでいないからだ。

 

彼らの関心は「原因」を激しく主張することによって自らの心理学的欲求を満たすことである。それが右翼的でない限り、どんな原因であってもよいのである。

左翼は常に社会的弱者を探しています。

 

彼らは「抑圧されている誰か」が必要なのです。左翼は一般的に強固に抑圧されており、しかしそのことが認められないために、自分以外の虐げられた弱者を見つけ出して、彼らと自分を重ね合わせることによってカジンスキーのいう「心理学的欲求」を満足させます。(左翼は偽善者のマゾヒストか - 齟齬

したがって、もし(右翼運動以外の)革命的であろうとする運動が生じた場合、左翼ははちみつに群がるハエのように駆けつけて、運動の元のメンバー以上に増え、乗っ取り、それを左翼運動に変貌させてしまう。 その後の運動は革命的目的には使い物にならなくなる。

 

このプロセスについてはEarth First!運動が良い例だろう。(参照:Martha F. Lee, Earth First!: Environmental Apocalypse, Syracuse University Press, Syracuse, New York, 1995.) 

 

したがって、左翼は新生代の革命運動を鈍くし、無害化するためのメカニズムとして奉仕する。

Earth First!運動とは1980年にアメリカで生れたグリーン・ピースやシー・シェパードのような過激な環境保護団体です。当初はアナーキズムの政治哲学に依拠する団体だったようですが、「動物を愛して人間を憎悪する」ような左翼~ヴィーガン~な雰囲気になっていったみたいです。

革命家は左翼を追い出す必要がある

したがって、効果的な運動のためには、革命家は運動から左翼を締め出す苦労をしなければいけない。

 

左翼を追い払うためには、革命家は女性、同性愛、人種的マイノリティーのための運動への関与を避けるだけではなく、関心を除去すべきである。そして彼らは何度も女性や同性愛者、人種的マイノリティは幸福であると主張すべきである。なぜなら私たちはかつてないほど彼らをよく扱っているからである。この立場を採用することによって、革命家は左翼から分離し、左派が彼らに加わることを妨げることができる。

 自分が気持ちよくなるための左翼――坂本龍一や大江健三郎的な左翼は、革命運動から閉め出さなければいけません。彼らは革命を妨害するからです。

 

左翼は革命家を潰す

左翼グループは、革命的な思想を持つ若者を潰すように働きます。

……多くの若者は技術システムが私たちの世界と自由を奪っていることを認識している。彼らはそれに抵抗したいが、一人では対抗できないことを知っている。だから彼らは参加できる集団や運動を探している。

 

今日の社会状況では、彼らは左翼やそれに類する集団しか見つけることができない。したがって若者はこれらのグループに入ってそのイデオロギーに変換されるか、あるいは落胆してグループを離れ、あきらめ、無気力になる。必要なのはほんとうの革命運動である。そのような若者が左翼集団に誘惑されて破滅させられる前に参加できるような。 

まとめ――左翼は役立たず

カジンスキーはアメリカ左翼のことだけを述べているのであって、ヨーロッパ左翼にそのまま適応できるかはわからないと述べています(ドイツ人への手紙なので)。

 

しかし、日本の左翼にも十分当てはまるかと思います。

 

坂本龍一や大江健三郎などの典型的左翼が左翼運動に何か意味あることをしたでしょうか? むしろ彼らの行動は、自らのナルシシズム、劣等感、権勢への欲望を満足させるだけでした。

 

左翼とは、おかしなメガネをかけた、枝葉の問題を主張する、スノッブなエセインテリだけではありません。真剣に社会や人生のことを考えれば、そのようなアホにはなりません。

 

ほんとうの革命家はテレビに映りません。人々に見えづらいところに存在するのです。

 

自由を求める人は左翼の罠に注意しなければいけないでしょう。