齟齬

社会とマイノリティの「齟齬」を描く御厨鉄のブログです。

アナーキストはなぜ国家に反対するか

アナーキストはなぜ国家に反対するのでしょうか。

 

国家が悪だからです。

 

 「良い国家」が存在するはずだ。

それは実現可能だ。

私たちは良き国家を追い求めるべきだ。

 

と人々は誤解しています。

 

しかし、「神の存在」が永遠に証明できないのと同じように、

「良い国家」が成立することも未来永劫ありません。

 

国家はその本質から悪です。

悪を減らすことは可能ですが、善になることはありません。

 

水はワインに変わりません。

国家は改革するのではなく、廃絶すべきなのです。

 

 

国家はなぜ悪か

Why do anarchists view the state as inherently evil and oppressive? | Richard Robsonを参考に書いていきます。

国家は抑圧的である

アナーキストは個人の自由と平等を重視します。

良き生のためには自分の本性にしたがって自己決定する必要があると考えます。

 

明らかに国家はその邪魔になります。

 

アナーキストにとって、国家は最高権威をすべての個人と集団に行使する主体である。アナーキストは自由と平等を侵害するものとして権威をとらえる。

 

ある人が他者の行動に影響をもたらすことは奴隷化であり、抑圧であり、人間の生を制限することである。

 

権威に服従することは、個人の本質・本性が抑圧され、依存によって屈服することを意味する。

 

国家は自由で楽しく生きたいという人間の本性を歪め、不自由で依存的な生活を送る人々を生みだします。

 

アナーキズムは絶対的な自由、無制限の平等を支持する。

 

しかし、法律は公共的なふるまい、政治的活動を制限し、経済生活を規制し、個人の道徳や思想に干渉する。

 

したがって国家は悪であり抑圧的である。

国家はあれこれ理由をつけて人々に干渉し・管理し・従わせようとします(支配される―統治されることの意味 - 齟齬)。とてもウザいですね。

国家は人間を腐敗させる

国家は腐ったりんご箱です。

健康でつややかなりんごも腐っていきます。

 

国家は、権威にあるものが腐敗するため邪悪である。協力的で同情的で社会的な人物が、権力や特権、富などで他者の上に立ったとき、抑圧的な暴君に成り果てる。

 

権威者となること(医者や教師といったいわゆる専門的権威であっても)は、威信、管理、最終的には支配への貪欲を生むことを意味する。

 

……権力の座についたものはだれでも暴虐的となる。

 

人間の本性は善です。サイコパスのような先天的障害を除けば、互いに協力し、同情的に生きていくことは可能です。

 

しかし国家はそのことを妨げます。権力が人間を腐敗させるからです。

 

すなわち、立憲主義や民主主義は単なるハリボテに過ぎず、市民を国家抑圧から守ることは不可能である。

 

国家の本質はスタンフォード監獄実験であり、ナチス・ドイツにあらわれています(「普通の人」ほど凶悪になりやすい - 齟齬)。

国家は搾取的で強制的、破壊的である

国家は富を収奪する装置です。

国家は刑罰の恐怖を利用し、個人から税制によって財産を強奪する点で搾取的である。

徴税のない国家は存在しません。数千年前の初期国家から例外はありません。

 

徴税は強盗であり、奴隷労働を意味します(徴税は奴隷労働である―Nozickの議論 - 齟齬)。

 

国家は強制的である。刑罰の恐怖を利用し、法律に従わせるからである。エマ・ゴールドマンは政府の象徴を「クラブ、銃、手錠、監獄」とする。

法律は支配者のために存在します。

 

日本のような非法治国家で明らかですが、支配者が法律に違反してもお咎めなしです。しかし、支配者の利益に反するような者は無理やり犯罪者として潰されます。

 

国家は個人から財産、自由、そして究極的には資本の処罰を通じて生命そのものを奪う。

 

最終的に、国家は破壊的となる。Randolph Bourneの言うように、「戦争は国家の健康」だからである。個人は他者を犠牲にして領土拡大、略奪、国家的栄光を求める戦争で戦い、殺し、死ぬことを要求される。 

国家は戦争を求めます。

 

戦争は人間の本性ではありません。

戦争は国家の本性です。

 

国家なきところに大量虐殺はありません。

 

歴史書を読めば国家の歴史は殺戮の歴史であることがわかるでしょう。

国家は明らかに悪で抑圧的である。その生みだす苦しみは自国民だけでなく、他国民にももたらすからである。 

まとめ まだ国家で消耗しているの?

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Goya - The Third of May 1808

 

よき国家を創出しようとする試みはすべて失敗します。

 

「よき国家」――その四文字で矛盾しているからです。

 

多くの左翼もその思考トラップに引っかかっています。

 

左派リバタリアニズムはかなりの部分でアナーキストと似ていますが国家の存続を認める点で違います。 

共産主義はかなりの部分でアナーキストと似ていますが社会主義国家を必要段階とする点で違います

 

究極の自由は国家を否定するところにあります。国家は必要悪ですらなく、ただちに解体すべき悪です。

 

国家――すなわち、「腐ったりんご箱」を拒絶し、究極的には廃絶すべきです。