齟齬

社会とマイノリティの「齟齬」を描く御厨鉄のブログです。

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ネオテニーと日本人

「古い日本は妖精の住む小さくて可愛らしい不思議の国であった」――チェンバレン

 

私たちは家畜化されています

 

オオカミに対するイヌ。ライオンに対するイエネコ。

 

それらと同じように、私たちは言わば「家畜化された猿」です。

 

家畜化された動物の顕著な特徴はネオテニー化です。

 

今日は特にネオテニー化が進んでいると言われるアジア人との関連を見ていきます。

 

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この写真は人類学者のアドルフ・ナフによって1926年撮られたもの。右はチンパンジーの子ども。「私の知るなかで、最も人間に似た動物の写真である」とコメントがある。

 

ネオテニーとは何か

「ネオテニーneoteny」はギリシャ語に語源を持ちます。

  • neo=若い、新しい
  • teinen=傾向がある

ネオテニーは「幼態成熟」ともいうが、性的に完全に成熟した個体でありながら非生殖器官に未成熟な、つまり幼生や幼体の性質が残る現象のことです(Wikipedia)。 

ネオテニーの例 

有名な例としてウーパールーパーがいる。大きな目に短い四肢。ウーパールーパーはオタマジャクシのまま成熟したようなネオテニーの例です。実はホルモン投与や環境条件によっては成体に変態しうる。ちなみに一般に知られている白い表皮の個体はアルビノで、ネオテニーとは関係ない。

 

ネオテニーの動物は他にもいます。イヌ、ネコ、ウシやブタなど多くの家畜はネオテニーだし、その他飛ばない鳥のいくつかの種、バンドウイルカなども含まれる。また、霊長類のなかではボノボがネオテニーだと言われる。

 

人間はそれらと同じくネオテニーということです。 

人間のネオテニーの特徴

ネオテニー化した人間は以下の特徴を持ちます。 

  • 球形の頭蓋骨
  • 薄い頭蓋骨
  • 眉部のでっぱりの減少
  • 大きな脳
  • 平面的で広い顔
  • 毛のない顔
  • 大きな目
  • 小さな鼻
  • 小さな歯
  • 上顎と下顎の小ささ

 

また、人類がネオテニーである根拠としては以下があげられる。

  • 体毛のない体
  • ペニスの骨がないこと
  • 処女膜があること
  • 前向きの女性器(ボノボの「正常位」は前向きだから?)

またこの他、胴体と比較して短い足や腕よりも足が長いこと、足の構造、直立歩行もネオテニー的特徴と言われることがある。

 

直立歩行と脳容量の増大はまさに文明に直結する主因であり、いまの社会はネオテニーの結果だと言える。 

ネオテニーの原因

人類はネオテニーであり、さらにその傾向は続いています。

 

「大きな目」「大きな頭」「小さな鼻、顎」といった特徴は増大していく。そしておそらく、協調性や感情の抑制といった人格的特徴も強まっているのではないでしょうか。

 

ちなみに人間をネオテニー化が進んでいくとロズウェル事件の「グレイ」に似てくるので、「グレイ」は未来からやってきた地球人じゃないのか? と考える人もいるみたいです。 

ネオテニーと性的魅力

婚活サイトを見るとだれしも気づくことがある。男性は女性の若さと美貌を求め、女性は男性の見た目よりも地位や金を求めます。 

 

「若い女性」は男性にとって魅力的です。比較文化学の研究では、白人でも黒人でもヒスパニックでも、ネオテニー傾向のある女性が男性からもっとも人気があり、逆にネオテニー傾向がもっともない女性は不人気だったようです。

 

以下のようなネオテニー傾向は女性の「性的魅力」なのです。

 

  • 繊細な骨格
  • 小さな乳様突起(耳の後ろの突起)
  • 眉骨の低さ
  • 前傾した頭部
  • 細い関節
  • 体毛の薄さ
  • 産毛のままであること
  • 体のサイズの小ささ
  • 後ろ向きの腰骨。

 

では女性はネオテニックな男性を選ぶのだろうか? 特にそういう傾向はないとされます。女性は男性に「平均的な顔」を求める――つまり高すぎず小さすぎない鼻、大きすぎず小さすぎない目といった顔貌に惹かれるのです。

 

通常、動物界ではメスがオスを選びます。孔雀の羽やセミの鳴き声のようにオスの方が派手なセックスアピールを持つのが普通です。しかし人間では反対になるわけです。

 

これは人間のオスが、出産適齢の女性を求めるからだと言われている。ロリコンとまでは言えないでしょうが、男性はみな若い女性が好きだといえます。

 

この結果として、人類全体のネオテニーが促進され、特に女性はネオテニー傾向が強くなる。 

日本人とネオテニー

東アジア人はあきらかにネオテニー的です。

 

体毛の薄さや汗腺の少なさ、足が短く胴体が長い。また従順で協調的な性格もネオテニー的です。

 

「日本人はもっともネオテニー的である」とする記事がおもしろかったので引用していきます。Seminal Thought: Most Neotenous in the World: Japan

日本人は稲作でネオテニー化した?

アジア人のネオテニー化を説明するのは稲作である。稲作は、より大きな人口密度を可能とし、ひとびとが密接に暮らすことが可能となった。哺乳類の動物においては、成熟した個体は距離をとって生きる傾向がある。しかし、幼児期の動物はなんら問題なく共生することができる。

この主張はもっともらしいです。

 

稲作は土地面積あたりで得られるカロリーが優れる一方で、労働集約的であり、多くの人々が協働しなければいけません。

 

また、近世近代以前の日本は山だらけ。河川の押し出す土による平地が現代ほどできていませんでした。農耕が可能な土地は非常に狭く、したがって農村はかなり高い人口密度だったはずです。稲作でネオテニー化したといえるかもしれない。

 

この辺、骨格を詳しく調べればわかるかもしれません。

 

稲作が始まったのは二、三千年前ですから、骨格がすぐに変わるのか? と思う人がいるかもしれません。少なくとも、頭蓋骨は数十年数百年単位でかなり変わるようです。

 

また文明の急激な変化に応じて、急激に変化しているとも考えられる。たとえば日本人の平均身長は80年近くで10cm近く伸びている。

土偶や埴輪はネオテニー?

同記事のユニークなところは土偶をネオテニー的だとしているところです。

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まあちょっと無理筋にも思えますが、たしかに丸い頭部、極端に大きな目はネオテニー的ともいえる。

 

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また現代の日本文化を見ても、「かわいい」=「ネオテニー的」なものを求める文化は非常に強いです。

 

日本人男性は「草食化」しているとも言われている。セックスや金を追い求めず、競争文化に適応しないひとが増えています。これはネオテニー的な傾向でしょう。 

 

また、化粧水や化粧品をつかったり、腕や足の毛を剃るなどはネオテニックな容貌を求めるからかもしれません。

 

まとめ 日本人はもっとも幼児的かもしれない

日本社会は未熟です。

 

その原因はネオテニー化とどうやら深い関係がありそうです。

 

日本人はもっともネオテニー化した人間かもしれません。そのことは、「もっとも進歩した人間」と言い換えることもできるでしょう。

 

「かわいい」文化――ゆるキャラとかアニメ文化は、まさにネオテニックな文化といえる。

 

もっとも、「進歩」が必ずしも良いとはいえない。ネオテニー化は、通勤の満員電車や企業のブラック化、政治体制や人々の幼稚さと無関係とはいえないでしょう。

 

そして、ネオテニー化≒家畜化した人間に最適化された社会は、多くの自由を求める人にとって非常に有害であるように思われます。

 

日本人はネオテニーだ……幼児のまま成熟した人間なのだ……。そう思って街を歩くと、なんだか奇妙な国に迷い込んだ気分になります。(私も同類ですが)

 

もう少しネオテニーや家畜化について調べてみます。

 

補遺:「ホモ・ルーデンス」の誤り

ヨハン・ホイジンガが人間を「遊ぶ人間(ホモ・ルーデンス)」と呼んだことは有名です。ホイジンガによれば、宗教や政治、芸術でさえ「遊び」であり、それが他の動物と人間を区別するのだという説です。

 

しかし、人間以外の動物も遊びます。成熟過程にある動物の多くが遊ぶし、ネオテニー化した動物は成熟してもイヌやネコのように遊びます。

 

成熟した個体が「遊ぶ」のは、人間に限ったことではありません。

補遺:「胴長短足は腸が長いから」の誤り

ふと思ったのですが、アジア人が胴長短足なのは食文化の違いによる消化器の関係ではなく、単にネオテニー傾向のあらわれと言えそうです。