結婚は、夜一人で眠るのを恐れる者には良いものである ヒエロニムス
「結婚は健康にいい」
「結婚は長寿をもたらす」
ということをよく聞きます。
私は素朴に信じていたのですが、実は間違っていた?
Sviyazhsk by Konstantin Vasilyev
ハーバード「結婚者は健康で寿命が長い」
まず、結婚を肯定する立場の主張を見てみましょう。
ハーバード・ヘルスが、結婚者は以下のような健康上の恩恵を受けるとしています。
- 高寿命
- 脳卒中や心臓発作のリスク低下
- 鬱病発症率の低さ
- 診断時に進行したがんになる可能性が低く、長期的ながん生存率が高い
- 大手術で生き残る可能性が高い
(The health advantages of marriage - Harvard Health Blog - Harvard Health Publishing)
さすがにハーバードが主張すると信じたくなりますが。
統計上の致命的な問題
「結婚が健康を増進する」という主張に対して、独身主義の強烈な論者、Bella DePaulo氏が反論していました。
以下要約。
- 結婚した人々は、結婚する以前よりも健康状態がわずかに悪かった。加齢による健康変化を加味しても、なお悪くなる傾向がある。
- Journal of Personality and Social Psychology in 2012によれば、結婚によってWell-beingが上昇することはなかった。結婚してすぐは「ハネムーン効果」によって満足度が高まるが、徐々に低下して独身者と変わらなくなる。
- スイスのKalmijnによる研究報告では、結婚者はやや生活満足度が高いとされる。しかし時が経つにつれ、満足度は低下してゆく。彼は離婚の影響についても調査したが、離婚者の満足度は著しく低いものだった。実のところ、離婚による満足度の低下は結婚の肯定的な影響の3倍以上だった。
まとめると以下になります。
- 健康:未婚者>結婚者
- 生活満足度:結婚者≧未婚者>>>離婚者
……ちなみに、女性の場合は離婚した方が寿命が伸び、幸福度もあがると聞いたことがありますが。男女全体としては不幸なのだろうか。
離婚リスクを考慮すれば結婚は不幸
で、先のハーバードの主張は、「結婚者」と「未婚者+離婚者」の比較です。
これは不当なものだというのがBella氏の主張の核です。彼女は一度も結婚したことのない独身者と、結婚者と離婚者を比較すべきだと言います。
Bella氏が詳細な反論を書いた別のページでの、次の例えが秀逸です。
「製薬企業が治験を行った。被験者のうち40%は持続的な投与が困難だった。企業はその40%を無視し、薬を飲んでいない方に加えた。そして、薬を飲んだ方が飲んでない方よりも健康だと主張する」。たしかにこれは無理筋です。
欧米先進国では結婚したうちの半数近くが離婚します。日本でも3割以上は離婚します。そして、離婚すれば不幸な人生が待っています。
おそろしい事実ですが……離婚者の100%は結婚していたのです。ならはじめから結婚しなければいいじゃないのか、となりますね。
結婚は優遇されているのにこの結果
結婚者は優遇されています。社会的、文化的、経済的に。
- 結婚者はまともな人間として扱われます。
- 未婚者は異常者として扱われます。
- 結婚者は税的優遇を受けることができます。
- 未婚者は税的優遇はありません。
- 結婚者はつねに助け合う特定のパートナーがいます。
- 未婚者は基本的にひとりで生きることになります。
にもかかわらず、未婚者の方が生活に満足しているって、どういうことでしょうか?
結論:結婚は自由を奪う。ゆえに不幸である
シンプルに考えてみましょう。
結婚は個人と個人がお互いを縛りつけあう契約です。互いの自由が奪われることになります。
結婚したが最期。離婚しないかぎり、たった一人の人間と一緒にならなければいけません。たった一人の人間とですよ! 完璧な人間なんていないのに。人間のこころなんて変わるものなのに。
「思ったような素敵な人ではなかった」場合はどうするんでしょう?
- 我慢して不幸な生活をするか
- 離婚して不幸な生活をするか
です。
もちろん、幸せな結婚をしている人は大勢います。
ただ、統計的な事実として、一般論として、結婚は不幸である、といえるでしょうし、それは自然なことだと思います。