齟齬

社会とマイノリティの「齟齬」を描く御厨鉄のブログです。

格差が生みだすアルコール依存

就職してからは、毎晩プレミアム・モルツを飲んでいる私です。金はないのですが、特に買いたいものも食べたいものもないので、ビールにだけはお金をかけています。

 

私のブログは、だいぶ初期に書いた「ワイン一日一本はアル中なのか?」が人気なのですが、いまはワインは飲んでないです。二日酔いがしんどいとかではなく、ひどい腹痛に見舞われるので……(白ワインならまあまあいける)。たぶんアレルギーの関係だと思います。

アル中と社会的不平等の関係

格差が広がるほどアル中が増えるという研究結果があったので紹介します。WilkinsonとPickettの共著「The Spirit Level」によれば、収入の不平等が増大すると以下の統計的な変化が起きるようです。

  • 寿命が短くなる
  • 乳児死亡率の増大
  • 殺人の増加
  • 不安の増加
  • 精神疾患の増加
  • ドラッグ・アルコール依存の増加
  • 肥満の増加
  • 刑務所への収容率の増加
  • 階級的な移動性の減少
  • 未成年の妊娠の増加
  • 高校中退の増加
  • 学校業績の悪化
  • 学校世代のいじめの増加

 

How Inequality is Killing Us | SusanRosenthal.comより孫引き)

 

非常にアメリカ的ですが、日本にも当てはまるような、当てはまらないような? 

格差が増大する日本では、「ストロング系」のアルコール飲料が大流行しております。

 

f:id:mikuriyan:20180603194316j:plain

この画像は本当に秀逸です^^

 

WilkinsonとPickettの著書のユニークな点は、すべての収入階級において同様の結果が生じるということです。年収200万円の人が格差に苦しんでアル中となる一方、年収2000万円の人もアル中になったり、精神疾患となる可能性が高まるのです。

 

つまり社会的不平等は、まるで伝染病のように私たちを「平等に」苦しめるということです。苦しめるどころか、殺しさえします。その原因として、Susan Rosenthalは、階級断絶によって相互不信が生じるからだとしている。つまり、社会全体が慢性的な不安感に襲われるということです。

 

たしかに、日本で「ブラック企業」などという言葉が生まれたのは、格差がかなり広がってからのことです。労働者は経営者を疑い、経営者は労働者を疑うようになりました。それまでは労使協調や家族経営が日本の伝統文化、とされていたはずですが、それもなくなりました(ついでにいえば、「脱法ハーブ」なんてものが流行ったのも日本が新自由主義化して以降ですね)。

 

労働者は、ストやデモはしないにせよ、権利を主張したり、労基への密告や、未払い残業代の請求をするようになりました。経営者は、労働者の反逆に怯えるようになり、一層労働者を押さえつけるようになりました。格差が広がるにつれ、階級的な差別がはっきりとし、全体的な社会不安は増大していきます。

格差が広がれば資本主義は維持困難である 

これは日本だけでなく、世界的な傾向です。ピケティの主張したように、資本主義は原則的に格差を増大させ続けます。事実、先進国のほとんどすべてで、若者たちの可処分所得がかつての若者よりも減っています。若者たちは、労働にも消費にも希望を見いだせず、生きるために無理やり労働させられることに嫌悪感を抱いています。米国の「ミレニアム世代」は半数以上がリベラルで、資本主義を支持しないともされています。

 

資本主義って、これ以上持続可能なんでしょうか? あまりにも資本主義の汚いところを見せつけると、資本主義にはうんざりだ、というムードが蔓延してしまうのではないでしょうか。

 

もっとも、資本主義のシステムは今のところかなり盤石なのですが。私のような凡庸な人間がアナーキズムに辿りつけたとなると、システムの崩壊は近いのかな、とも思います。