齟齬

社会とマイノリティの「齟齬」を描く御厨鉄のブログです。

日本の少子化の原因は何か

金がないからです。

 

想像してみてください。明日の自分の食費、来月の家賃がどうなるかわからないのに、結婚して子どもを作ろうと思うヤツがいたらバカです。日本の少子化は、それだけの話なのでは。

 

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かつて、子どもは宝物でした。5,6年世話をすれば、自分(親)のために働いてくれるからです。

でも、今の日本では企業のために働かせる目的で、20年近く教育を受けさせ、養わなければいけません。

 

少子化と非正規雇用

米Atlantic誌が去年、「日本人がほとんど子どもを持たないミステリー」的な記事を書いていたので一部引用します。

The Mystery of Why Japanese People Are Having So Few Babies - The Atlantic

 

デューク大学の比較人類学教授であるAnne Allisonは、次のように指摘する。

 

「出生率の低下、そして婚姻率の低下。その第一の理由は、経済の不安定にあると言われている」

 

驚かれるかもしれない。日本は、経済的にはぶいぶい言わせており、失業率が3%以下の国だからだ。

 

テンプル大学ジャパンキャンパスのJeff Kingstonによれば、約40%の日本人労働者が「非正規」である。「非正規」とは、キャリア形成や安定した雇用のある企業のために働くのではなく、代わりに給与が低いこと、手当などがないことと、一時的でパートタイムの労働を合わせたものである(このような短期労働者が政府統計によって雇用者として扱われている)。

 

つまり海外基準で失業率を計算したら40%以上になるんでしょうか。

 

非正規労働者の約20%だけしか、自分がしている仕事を正規労働に切り替えることはできない。Kingstonによれば、1995年から2008年にかけて、日本の正規雇用者は380万人減ったのに対し、非正規労働者は760万人増えている。

 

非正規労働者は、望ましい結婚相手とは見なされない。

 

女性もまた、正規の労働を求める。家族を育てるためには、労働時間が不確かで賃金が低いからである。しかしより結婚の障害となる理由は……約70%の女性が第一子を持ったあと職場を辞めて、しばらくの間、夫の収入に依存するからである。

 

70%って、すごい数字ですね。産休などの制度が整っていないという説明もできますが、単に職場に戻りたくないだけなのかも。

 

POSSE*1は非正規労働者の収入の平均を1800ドルとしている。しかしそのほとんどを家賃、奨学金、日本の社会保障に払ってしまう。生活のための金はほとんど残されない。……日本の有名大学を出て、良い職に就いている者はこういった。「男性はその20代において、家族や家を持とうとする発想自体が起きない」POSSEのメンバーであるMakoto Iwahashiは言った。「ほとんどそれは現実的ではない」

 

非正規雇用の出現は、単に非正規雇用にとって問題なのではない。職を持つだけで恵まれているのだからと、正規雇用者を貧しくすることが可能になっているとKonno氏は言う。20代や30代の人々は、正規雇用がほとんどないことを知っているので、企業は多くの若者を雇いながら、残業代をわずかしか払わないか、一切払わず、長時間働かせる。ほとんどの社員がその厳しい条件で残らないと見越してだ。

 

これ、実態としてはすごく理解できます。

 

「非正規vs正規」という構図をつくることによって、結果的には雇用者の利益となっています。

 

サービス残業で搾り取られた挙げ句、過労による体調不良や鬱病で退職。結果的に企業丸儲け。……ネット上ではよく見ます。

 

……日本の「良い」とされる仕事でさえ惨たらしいものだ。「良い」仕事に就いている人々は、家族を養うだけの金を稼いでいるかもしれないが、彼らはしばしばデートをするための時間や、仕事、睡眠、食事以外の時間がほとんどない。彼らの多くはほとんど持続不可能なほど抑圧されている。

 

……もちろん、日本はこき使われているとか、ハードワークをさせられる労働者を持つ唯一の国ではない。非正規労働者が増加した唯一の国でもない。しかしいくつかの点が、アメリカや他の先進国と異なる。

 

第一は正規雇用が深く日本文化によって価値付けられており、正規雇用に就かなければ他にどのような能力を持っていようとも批判されるという点だ。

 

第二は、過労と長時間労働が広く受け入れられている点だ。上司より早く退社することはだらしがないとされる。長時間労働を嘆く労働者は、政府だけではなく、友人や家族にも共感されないことがある。

 

最後に、日本は労組の弱い国で、労組は企業と協調して仕事を行うためか、企業のために存在している。

 

企業にとっては天国のような国ですね。 

子どもはつくらなくてよろしい

結局、「子どもをつくるほど時間的・金銭的に豊かではない」ということに集約されそうです。日本人はあまりに搾取されており、貧しすぎるのです。

 

反出生主義に賛成するワタクシは「いいぞ、貧乏人は子どもなど作るな」といいたいです。結婚礼賛や子育て礼賛に負けるな、と。

 

あなたが勝ち組で、たくさんの資産を持っているなら、子どもをつくることは合理的でしょう。でも、負け組の子どもは負け組です。子どもたちは企業に搾取されるか、戦争で死ぬかです。

 

新たな不幸な生命をつくることはやめましょう。かえるの子はかえる、奴隷の子どもは奴隷ですから。

 

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「ファイナルファンタジータクティクス」より。

  

働けど働けど低賃金の日本人を哀れむ

日本人はたしかにこき使われています。

 

巷間では次のようなことが言われています。日本人は生まれつき勤勉だとか、まじめだとか、農耕民族だからとか、武家社会があったから……とか。

 

全部ウソです。結局、「無理矢理働かせるシステム」が完成されているからに過ぎません。

 

だって、無賃で働け! なんて言われて喜んで働く奴なんていないはずなんですよ。それでも働くのは、それが同調圧力によるものにせよ、文化という名のイデオロギーにせよ、明らかに権力のはたらきなのです。「権力とは一般にある主体が相手に望まない行動を強制する能力である。」Wikipediaより。

 

日本人労働者は、権力によって濫用abuseされているのです。 

*1:POSSEとは、「労働相談を中心に、若者の「働くこと」に関する様々な問題に取り組むNPOです。」とのこと(WEBサイト)。