齟齬

社会とマイノリティの「齟齬」を描く御厨鉄のブログです。

もしもサイコパスを社会から「追放」したら

サイコパスは悪そのものです。

 

私は基本的には性善説を支持しています。基本的には――と条件付けるのは、人間すべてが善なのではなく、「悪」そのものな人間が存在するからであり、そのもっとも顕著な例がサイコパスです。

 

最近のサイコパス研究では、脳の器質的な異常が原因であるとする学説がほとんど決定的なようです。

 

 

 この記事が示していることは、サイコパスが脳の器質的な障害であることに加え、MRIの検査でサイコパスを高精度に同定できるということです。

 

これまでサイコパスの診断は、鬱病や神経症と同じように精神科医によるアンケートで行われてきたのですが、癲癇の脳波検査や、アルツハイマー型認知症のMRI検査のように、より客観的に正確にサイコパスが診断できる可能性があります。

 

つまり、仮にサイコパスをスクリーニングで「除去」すれば、それによって「サイコパスなき社会」が方法論的には可能になったということです。

 

そのような社会がどのようなものか……考えてみるとなんだか刺激的です。もしかしたら、「平和な世界」とはそこにあるのかもしれません。

 

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邪悪な人はあっちいってね~の図(MARK 1:21-28)

 

最近私は「諸悪の根源はサイコパスなのではないか?」と思って調査しているのですが、まさにそれに近いタイトルの記事があったので紹介します。

Randall Clifford:Is the Root of Evil the Psychopathic Mind?

 

定義:パソクラシー。少数の精神異常者によって、社会の普通の人々を支配するために創られた政治システム。( Political Ponerology: A Science on the Nature of Evil Adjusted for Political Purposes, by Andrew Lobaczewskiより)

 

少数のマイノリティーがサイコパスとして生まれる。彼らは遺伝形質的に「社会的脳(social brain)」の異常性を生まれつき持っている。

 

……MRIはサイコパスの根本的な違いを判別することが可能である。このことによる人道に対する潜在的な利益は莫大だ。サイコパスに権力へのフライトを許さない、TSAスクリーニングのようなものを想像してもらいたい(訳注:TSAスクリーニングは、米国の空港の預け荷物検査のこと)。

 

サイコパスは、権力のピラミッド構造において、普通の人よりも逆の利点を持っている。彼らは良心、共感、道徳に縛られることがない……逆さまとなったパソクラシー社会でサイコパスは、魂の重みがないために、容易に社会のトップに登りつめると言う者もいる。嘘、詐術、窃盗、闇討ち――ふつうの人であれば良心の呵責を感じるところだが、サイコパスはそれを感じずに権力を掌握することができる。

 

……もし人々が他者に巨大な権力を振るっているところに、「社会脳」の以上をMRIスキャンして、サイコパスを追放すれば、キャピタル・ヒルやウォールストリートにルネサンスが起きるかもしれない。今日の政治と財政の状況から判断するに、このような人道的な発展において、多くの欠席があることは確実である。

 

悪辣な人間が善良な人間を支配する社会

善良な人間が、悪辣な人間に蹴落とされる――このような光景を、私は何度見てきたかわかりませんし、人生経験の豊富なみなさんにも共感していただけるでしょう。

 

結局、世の中では善い人間ほど痛い目に遭いますし、それを「バカだなあ」とみんなで冷たく笑うような社会が確立されています。このような社会制度は、病んだ人間が健常な人々を支配する「パソクラシー」と言うんですね~。ひとつ賢くなりました。

 

というか、このパソクラシーの概念って、ニーチェの言う「逆立ちした世界」「奴隷一揆」と似てますね。ちょっと長いのですがニーチェの入門書から引用してみます。

 

 

しかしながら、私たちは日常生活の中で、このような奴隷一揆またはユダヤ的価値転換に気づくことはありません。キリスト教道徳、これを前提とする近代の民主主義は、出来損ないが自らの身を守るために発揮した狡知の結果であるということ、人類全体の福祉を著しく妨げる錯誤であることに気づくのも容易ではありません。というのも、私たちが生きているのが、すでに奴隷一揆が成功して奴隷道徳が君主道徳に勝利を収めてしまった世界、賤民の視点がすみずみまで浸透した世界に他ならないからなのです。(知の教科書 ニーチェ/清水真木)

(こんなこと書いたら初学者に引かれませんか? 清水センセー……) 

 

だいたいにおいて、企業の社長とか政治家というのは善良というよりも悪辣です。悪辣だから偉くなったのだとも言えますし、そもそも善良な人間は「偉くなりたい!」とか「金! 権力! 女! ゲハハッハー!」……などと思いませんから。

 

三角形の頂点に立つひとびと(establishment)は生え抜きの悪人が多いのではないでしょうか。統計があるわけではありませんがサイコパスが多そうな印象はあります。(もっとも、大多数の権力者は、言われたことに追従するだけのアイヒマンのような下級官吏的凡人でしょう)

 

スクリーニングしてサイコパスを適切に除去する――というのは、考慮すべき手法だと言えますし、それが実現不可能としても、想像してみることは大切です。

 

サイコパスを「隔離」した社会と、今のままの社会。どちらが良いのでしょうか。

 

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「サイコパスは立ち入り禁止です!」「聞いてないよ~」の図