齟齬

社会とマイノリティの「齟齬」を描く御厨鉄のブログです。

実はどこにもない「子どもをつくる理由」

子どもをつくることを当たり前――ほんとうでしょうか?

 

女の子は小さな頃から「良い結婚」を目標にして育ちます。男性も30歳くらいで結婚を焦ります。

 

その根底にあるのはなんでしょうか。子どもがほしいからでしょうか。それとも子どもがいないと、みっともないからでしょうか。

 

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だれもが子どもをつくりたがります。でも、なぜつくるのか? といったん理由を問いはじめると、どうも曖昧として見えてこないからおもしろいものです。

なぜ子どもをつくるのか?

VHMET(人類の自発的な絶滅運動)のBIOLOGY AND BREEDINGというページに、おもしろい回答集があったので引用。かなり訳があやしいところがあります。

 

与えられた理由:どうしようもない。生物学的な事情だ。
本当の理由:不確かな動機
代替案:生物的な衝動を制御できない人には、「施設」が待っている。

 

与えられた理由:両親に孫の顔をみせたい
本当の理由:いまだに両親の承認を求めている
代替案:自分の人生を生き、両親にも同じように生きるよう勧めよう

 

与えられた理由:私はただ子どもを愛しているのだ。
本当の理由:インナーチャイルドと、すでに存在する子どもとの接触がない。
代替案:養父母、継父母、育ての親となろう。孤児院や教師などの職につこう。

 

与えられた理由:私は優れたヒト遺伝子を持っている。
本当の理由:認識不可能。誇大妄想。
代替案:あなたの遺伝子で偉大なことをしましょう。次の回分培養に期待するのではなく。

 

与えられた理由:農業を手伝う助けや、家内労働の助けが必要だ。
本当の理由:簡単に得られる助け。児童労働法は不都合だ。
代替案:機械化によって投資収益率を上昇させよう。

  

与えられた理由:私の老後のめんどうを見る人が必要だ。
本当の理由:老化への恐怖。搾取的な人格。
代替案:貯金をして退職後に備えよう。人とよく接すれば家にきてくれます。ソーシャル・サポート・ネットワークを構築しよう。 

 

与えられた理由:妊娠と出産は人生経験になる
本当の理由:社会的なドクトリン化によって人生選択が狭められている。
代替案:「出産シミュレーター」を借りてみよう。異なる人生経験を選ぼう。

 

与えられた理由:良い家庭はキャリアアップや共同体での強い立場に不可欠だ。
本当の理由:社会不安。トロフィー化した子どもたちが社会的地位を向上させることを求める。
代替案:特定の状況ではタレント事務所から子どもを借りよう。白塗りのピケ柵を庭につくろう。

 

与えられた理由:私たちは、私たちふたりの愛の結晶としての生命を生みだしたい。
本当の理由:エゴx2ー想像力=3+α
代替案:庭仕事。河川保護や森林保護。動物救護。愛の証として自然環境を保護・再生する。

 

与えられた理由:私は自分の持ち得なかったものを与えるために自分の子どもがほしい
本当の理由:満たされなかった幼少期の欲望と幻想
代替案:過去の後悔を克服し、最高の人生を送ろう。既に出生している子どもたちに恵みを与えよう。

 

与えられた理由:家名を継ぐため。
本当の理由:父を喜ばせる試み。血筋の迷信に洗脳されている。
代替案:家名を残す何かをつくろう。血筋を残すために献血に行こう。

 

与えられた理由:ちいさな自分が見たい。
本当の理由:極度の自己執着。脆弱な自己評価。
代替案:カスタムメイドのリアルな人形を注文しよう。自分の人生を輝かしいものにしよう。 

 

与えられた理由:神がそう我々に求めるのだ。
本当の理由:大きな群を求めるドグマの行商人への無思慮な服従。
代替案:あなたにとっての神がなんでろうと、本当の神性を探し求めよう。

 

与えられた理由:私の夫/妻が赤ちゃんを欲しがる
本当の理由:パートナーを失う恐怖
代替案:本当の望みについて語り合おう。配偶者は「あなたを」養い、育てたい人だと思うかも知れません。赤ちゃんシミュレーター人形を借りてみよう。

 

与えられた理由:私たちの血筋を持つ子どもが欲しい。
本当の理由:自我の延長。民族的アイデンティティ。
代替案:異なる遺伝子構成を持つ人々の価値を認めよう。

  

与えられた理由:スピリチュアルな理由だ。
本当の理由:他の理由が簡単に棄却されるから。
代替案:本当の霊的経験を見つけよう。

 

与えられた理由:私はつねに子どもが欲しかったし、人々はそうしている。
本当の理由:疑いなく文化的条件付けである。
代替案:代替案を考えよう。「期待」や「希望」を問おう。

 

与えられた理由:私たちの関係を埋めるため。
本当の理由:失敗した結婚の恐怖。
代替案:関係を強くするためにコミュニケーションしよう。

 

与えられた理由:赤ん坊が好きだから。
本当の理由:現実に対する近視眼的な見方。
代替案:赤ん坊はすぐに児童となり、大人となる。児童ケアの仕事がある。赤ん坊のリアルな人形は助けになるだろう。

  

与えられた理由:母親となることは女性の最高の使命である。
本当の理由:規範への追従は、高貴な自己犠牲の形をとる。
代替案:母性や父性は出生がなくても存在する。たくさんの子どもたちが良い家を待っている。

 

与えられた理由:私の子どもなら世界を救うことができる。
本当の理由:「マザー・オブ・ゴッド」コンプレックス(男性にもある)。
代替案:もしあなたが正しいことをしたいなら、自分でそれをしよう。

  

与えられた理由:今度は男の子や女の子を試してみたい。
本当の理由:自我の延長。性的同一性の不安。すでにいる子どもへの不満足。
代替案:自分の持って生まれたものに感謝しよう。兄弟が深刻な問題を生む可能性がある。

 

与えられた理由:そうしたいから。
本当の理由:そうしたいから。
代替案:子どもをつくることは、あなたのしたいことのほとんどを締め出すことになります。

 

与えられた理由:私は自分を愛してくれて、自分から離れない存在が欲しい。
本当の理由:拒絶への恐怖。解決されない関係の問題。
代替案:愛を得るためには愛を与えよう。失うことを克服し、変化を受け入れよう。

 

与えられた理由:私たちの経済は退職者に変わる若い労働力を必要としている。
本当の理由:子孫を国家経済の神々への生贄にささげようとしている。
代替案:機械化が賃金奴隷の必要性を減少させている。無意識が考えることを尊重しよう。 

 

与えられた理由:世界にはより多くの私たちが必要で、数で上回る必要がある。
本当の理由:エリート主義。排外主義。優生学はジェノサイドよりも隠すのが簡単だ。
代替案:他者を自分と同じ考え方にコンバートしてみよう。あなたが一人増えたことになり、彼らがひとり減ったことになる。 

 

与えられた理由:いずれにせよ地球は滅びる運命にある。
本当の理由:虚無主義的出生主義。
代替案:破壊された環境において、生命と死を罪のない人に与えることの倫理性を考慮しよう。

 

与えられた理由:不死の感覚を実現させたい。
本当の理由:死や非存在への恐怖。
代替案:死を受け入れよう。遺伝子ではなくミームを広めよう。ソクラテスの遺伝子は明らかではないが、彼の哲学は強く残っている。

 

与えられた理由:私の生物的な時計が終わってしまう。
本当の理由:30代~40代の女性の正常な性的欲望の高まりは、ピューリタン的な社会では受け入れられ難い。
代替案:時限爆弾的な文化的な植え付けを解除しよう。子どもをつくらないセックスは悪いことではない。

  

与えられた理由:知らない。
本当の理由:考えたことがない。無思考のコンフォーミズム(慣例主義)。
代替案:生む前に考えよう。

 

与えられた理由:すでに遅くなったときに、後悔するのではないかと思っている。
本当の理由:人生のスピードと将来への不安。
代替案:私たちはなにもかもを経験することはできない。子どもをつくった後悔よりも、つくらなかった後悔の方がはるかによい。

 

与えられた理由:自分の(まだ存在していない)子どもたちの存在の楽しみを否定したくない。
本当の理由:すでにいる子どもたちの楽しみの欠如への無視。
代替案:まだ存在していない存在への創造的な楽しみよりも、すでに産まれた子どもたちへ楽しみを与えよう。

 

与えられた理由:出生は女性にとって、伝統的に個人的な権威増強の源だった。
本当の理由:無力感。権力や尊敬への欲望。
代替案:母親は尊敬よりもリップサービスを受けている。自分で決めた権力の源を見つけよう。

 

子どもを生む合理的な説明がない

かなり皮肉が強烈な文章ので、意味が通じない部分もあったかもしれません。しかし、どれも頷ける意見だと思います。

 

実は現代では、もはや子どもを作る理由がないのかもしれません。

 

子どもというのは、昔から、理由があるからつくるものでした。貴族や王族は家督を継ぐために子どもをつくりました。奴隷や農奴は労働力の必要から子どもをつくりました。

 

一方で、現代ではなぜ子どもをつくるのかが不明瞭になっています。

 

ただなんとなく、みんながそうしているから、親や世間がうるさいから、子育てが楽しそうだから、人生の意義になりそうだから、老後の面倒をみてほしいから……。

 

これらは近視眼的な見方であるか、慣習にとらわれているか、単に自己中心的な考え方がほとんどであるように思われます。

 

私たち個々人の動機としては不明瞭なのですが、国家の意志としては子どもを生むことは明確な利益となります。

 

子どもがひとり増えるごとに、労働者や消費者、そして納税者がひとり増えることになるからです。

 

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結局、私たちが子どもをつくりたい/つくらなければと思うことの根源は、国家の権力(Biopower)にあるのかもしれない……そんなことを思いました。

 

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