齟齬

社会とマイノリティの「齟齬」を描く御厨鉄のブログです。

日本の消費者はレイプされている

たしかにこの国は近代国家に似ている。政治、企業、裁判、警察、記者、学者“らしきもの”は見つけられる。民主主義であり、自由と平等が保障されると一応憲法に書かれている。しかし、本物の政治や裁判となると、この国のどこにも見当たらないのである。

 

基本的に、日本は前近代的な国だというのが私の認識だ。

 

外国に日本の警察は中世だよね? と言われて、ジャパンイズザモストアドバンスド!と叫んだ人がいる(シャラップ上田)。でも私も日本はやっぱり、中世だと思う。

 

日本はアジアの中で特別な国ではない。日本人は名誉白人だと思い込んだり、ドイツや北欧と似ている国だと思いたがるが、悪い冗談だ。日本は韓国や中国と同じように東アジアの国に過ぎない。日本社会は共産党や財閥の支配する中韓と構造的によく似ている。自民党や皇室が人民の上に立つ腐敗した国である。

 

日本はなんでそんなに金がかかるのか 

でまあそんな話はどうでもよくて、日本はあらゆる商品が高いという問題がある。一人暮らしを始めたら信じられない金がかかるので憤死しそうだ。

 

その説明として実証的というか、かなり的確な記述があったので引用したい。この記事のタイトルは同文、“Consumer Rape”という記述より。日本人はほんとうに消費によって、レイプされてると思う。

 

ちなみに筆者は日本人の政治的無能さを強烈に批判しているけど、かなりの日本通でもある。いたずらに日本を貶めたいわけではないだろう。

 

以下Why are Prices in Japan So Damn High??より翻訳。

だれでもいいから、日本人になぜ住宅費が高いか尋ねてみるといい。「ええ、日本はとても小さな土地を持つ小さな国で、云々」。これはもちろん本当だ。1億2700万人の人口はアメリカの半分で、土地の広さはカリフォルニアよりも狭い。しかしそれが東京の周辺に人口の1/4が住んでいることを説明はしない(訳注:東京は10%だが、神奈川、千葉、埼玉を含めると1/4)。それに、なぜ島根県の政府が土地を与えて、もし半年以上住むのであれば無料で譲渡するようなことをしないのかを説明しない。本当の理由はもう少し深い。

 

実は、ほとんどの日本人は完全に非政治的apoliticalで、政府やシステムに対して非常に楽観的だ。東京の狂気ともいえる高い地価は、政府がそこにあるからである。そしてビッグビジネスは政治家と官僚とのベッドの中にある。ビッグビジネスが東京にあるなら、最高の仕事はそこにあるのだから、人びとはそこに住みたくなる。

 

しかしそれ以上のことがある。日本は工業化された国の中では極めて不動産税の安い国だが、家を売るとなると税金が50%もかかる! これが土地の供給を締め上げ、平均的な日本人労働者が家を持つことが夢に終わる原因である。事実、孫が生れてやっと完済できるローンを発行する会社もある。土地も非常に高い。土地1平方メートルあたりの床面積は政府によって人為的に規制されているからだ(訳注:建ぺい率のこと)。相続税は破壊的に高いので、死ぬことは家族にとって最悪だ。

 

さらに悪いことに、日本政府はこれまで的はずれな指針によって物事をどんどん悪い状況に置いている。農水省は東京都で農家が増えるよう推進している。だから世田谷にいけば数十億円の土地で農家がキャベツを栽培しているのを見ることができる。なぜだ? 低い税率――それが理由だ。しかし状況は日本の都市すべてにいえる――田舎の地方は人口が減り続け、都市はより集中する。東京の北部には文字通り数千平方マイルのほとんど無人の土地がある。

 

それにまだ問題があるようだ。他の高い税率だ。所得税はそう悪くない(無論、社会福祉と比較して)が、法人税は高いし、酒税やたばこ税、補助金、そして5%消費税(2014年に8%にあがった)のすべてが商品を高くしている。日本の酒税とたばこ税は高い(半額が税金だ)。そして輸入酒は国内の酒よりも安い(スノッブな商品は除く)。政府は多大な補助金を農業、特に米農家に払っている。政府は農家に莫大な補助金を与え、高いコストで作られた米を買い取り、消費者の怒りを恐れてそれを安い価格で販売している(訳注:「食糧制度」のこと)。同時に政府は輸入米を制限し(徐々に規制緩和されているが、海外米は依然として日本米より高く、もちろんだれも買おうとしない。……)現在日本米は、世界の7倍の価格がついている。もし米を食べないことを選んだとしても、とにかく君は税金を払う。そしてもちろん5%の消費税があり、8%にあがり、それは10%に上がろうとしている。しかし日本の税金はガソリンや酒にも適応され、税金に税金をかけなければならない。消費税は食品にもかかり、すべての生産過程にかかり、耐久消費財がますます高くなる。これだけでも価格はかなりあがるのだが、まだまだ始まったばかりだ。

 

閑話休題。日本の住宅費の異常な高さは以下のページが参考になる。

「有効に土地を利用していない所有者が節税目的のために土地を所有し続ける」……現行土地税制の歪みのなかで最も大きなものは,相続税に関するものである.宅地に対する相続税評価が実勢価格より低くなりがちであることに加えて,生産緑地に対する相続税優遇措置と小規模住宅地に対する相続税優遇措置が土地の有効利用を著しく阻害している.(東京大学教授 金本良嗣


カルテルと腐敗

価格が天井をぶち抜く理由となる大きな問題が他にある。もちろん日本は法律で独占を禁じる多数の法や、違法な行為を取り締まる公正取引委員会が設置されている。しかし公取委には人員が足りず、資金も足りず、張子の虎以外の何ものでもない――ビッグビジネスのやりたい放題だ。また独禁法は、高価な洋服店や小売店を許し、外国製品を多く扱う大きな店舗やディスカウントストアを制限することで消費者を苦しめている。近年、アメリカはこれらすべての法律を廃止した。これは別の問題を生むだろう。日本の社会保障は悲惨なので、これが日本人がひたすら貯蓄する理由でもあるのだが、それだけではない。高齢のカップルは退職後にどうやって食い扶持をつなぐのか? もちろん高価な小売店だ。高齢者の数が増えるにつれ、この問題は危機となるだろう。

 

カルテルと腐敗がこの島の法律となっている。外国企業はこれを知らないと日本では失敗することになる。ほとんどの市場において、企業の目的は利益だ。日本では、市場の「シェア」が重要となる。ウォークマンのような新商品が誕生したあとには、すべての企業が似たような商品を販売する。たとえほとんど利益がなくてもだ(赤字なこともある)。すると大規模な価格暴落が起きる――通常、資本の基盤のない企業は(つまり、ビッグバンクが「系列」にある企業でない限り)その分野から撤退する。その後、少数の企業がカルテルを結び、価格を釣り上げる。流通経路は確実に締め付けられ、競争相手となる可能性のあるものは除外される。この時点で、ゲームは終わっている。日本のビジネスは官僚とのここちよい絆によってつながっており、しばしば官僚が退職後に再雇用を行っている(天下り)。20世紀において、ほとんどの政府は独禁法を施行した。日本は大企業にGDPをあげるよう推奨した。日本が開国した1868年から、自国の産業を慎重に守りながら外貨を稼いできた。ほとんどの日本人はなぜ、日本製のカメラが日本よりもニューヨークの方が安いのかを知らないし、なぜかと考えようともしない。その理由の多くは、日本は一旦シェアを確保しすれば、自国の競争においては安全だからだ。このような戦略が、なぜ日本市場がもっとも世界で競争力をもつかを説明する。

 

もっともよく知られた漠然とした形態の腐敗は「談合」と呼ばれる。談合は数十億ドル規模の建設会社による入札不正だ(日本人の労働者の10%は建設業界にいる)。企業は公共プロジェクトのリストを割り当て、各社は合意したよりも高い価格で入札する。企業は高率の利益が約束され、納税者がバカを見る。道路建設や関西国際空港の建設などで、計画は数十億円にものぼる。このような企業にいくつかの行動も起きたが、起訴には10年以上かかり、罰金も軽微のため、公正になるインセンティブがない。さらに日本経済は90年代から昏倒しているので、本当の問題を解決するよりも、政治家たちはバンドエイドを貼るような計画を打ちだし、例えばダムをつくったり地元の人びとが「どこへも行けない道」と呼ぶ道路を建設し続けている。

 

もうひとつは飲料とビール会社だ。コカ・コーラが一缶110円にすると広報すると、すべての飲料メーカーが同じことをした。これはよくあることだが、そんなことをする特段の必要はなかった。何の説明もなかったが、さらに悪いことに、だれも説明を求めなかった。ビール会社ももうひとつの例だ。いくつかの理由によって、日本のビール会社4社がすべて正確に同じ価格だ。説明できるかって? 4つの企業がたまたま、偶然、同じ価格をつけたのだ。当たり前だ。ほとんどの企業がこのように行動する。国内便は外国の倍以上の価格がする。……メディアでさえ情報カルテルの類をつくりあげ、記者クラブによってすべての行動を共にし、政府広報からはみ出すもののないようにしている。日本の人びとはすべて検閲済みの、政府のマウスピース・プレスからニュースを受け取っている。大規模な経済的スキャンダルが噴出したときだけ、それは問題となるが、数週間の謝罪と表面的な変革ののちに、いつものビジネスに戻る。

消費者の無気力

西洋の人びとは批判的・分析的に物事を見るよう教えられるが、日本人は黙って言われたことをやるよう要求される。思考もまた集団志向である。彼らは非常に村社会的で、グループの外のことは副次的で、無視される。チャリティーや草の根運動は日本ではほとんど聞かない。個人の成長や、自由やプライバシーは日本ではうまく定義されていない。多くの日本人は個人主義を自己中心性と混同している。自分のために立ち上がることは日本人にとって新しいコンセプトなのである。だから小売店の請求に対し、日本人は愚直に支払い、問い直すことがない。多くの日本のメディアやテレビは扇情的に広告を打ち出し、客観的事実はかき消えてしまう。どうしたの? 君は25ドルのメロンや18ドルのアスピリンを買わないのかい? きっと君の国の製品には問題があったんだろうねーー日本には「危険な」外国製品に関するたくさんの物語がある……

 

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そしてなぜ多くの日本人が屠殺者に殺してもらう準備万端の従順な羊のようなのか? いくつかの理由がある。ひとつは暗記中心の教育システムだ。入学試験に受かるためには暗記さえすればよい。したがって、日本人は単語や文法の記憶は山程あるが、単純な英会話すらできない。この問題はあらゆる科目であてはまる。一度大学に入ったら、やるべきことはすべてを忘れてパーティすることだ。容易に理解できることだが、多くの学生は何年も毎晩続けてきた受験勉強により燃え尽きて、すべての知識や興味を失ってしまう。次には彼らは企業に入り、またすべての激務が繰り返される。全体として、集団は厳格な準拠主義conformismを要求する。個人主義、天才、創造性は押しつぶされる。このシステムは大量生産のビッグビジネスに服従する労働者を生産するためには最適だった。

 

それなら政府を変えるためにはどうすればいいのか? 外国であればほとんどの人が改革的な候補者に投票するだろう。日本の選挙で改革者とはだれだろう? だれも知らない。多くの国では議論が行われ、テレビやラジオで討論される。日本では、トラックに乗った候補者が喚き立てるのが選挙となっている。「ありがとうございます! ありがとうございます! 私は田中です!ありがとうございます! ありがとうございます!」候補者による具体的な言及や約束はなにもない――絆創膏的な公共事業以外は。実のところ、多くの人びとは企業が要求するので選挙にいっている。候補者がどちらだろうと、ビッグビジネスに都合がよく、より多くの絆創膏を与えてくれるだろう。

 

さらに悪いことに、トイレのしつけを受けたメディアは、政治的な報告をするにも「政府は今日、あれこれと言った」、それで終わりだ。1時間のニュース番組はニュースが10分だけで、45分間はスポーツと天気だ。商品と同じ様に、記者は談合システムをもっている。国家・政党のラインを越えた記者はクラブから閉め出される。非日本人の情報源によってしばしばスクープやスキャンダルとなるが、それは日本人は深く追求しようとしないし、密告者を保護する法律がないからだ。さらには、日本人の多くは外国に買い物に行っている。しかしほとんどは日本が「高い国」だと思わない。ほとんどの日本人は完全に非政治化・非宗教化されている。ニュースはどんな薬でも眠れない不眠症者のためのものとなっている。それなら彼らは自分の時間で何をしているのか? 通常、飲酒、喫煙、カラオケ、スポーツ、流行を狂ったように追いかけることだ。今日はここで、明日はそこへ。何も見ずに、何も考えずに。