齟齬

社会とマイノリティの「齟齬」を描く御厨鉄のブログです。

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腰上OHは自分でやれば工賃無料

  TWくんの腰上OH(オーバーホール)しました。

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OHと言えるかはかなり疑問ですが^^;

 

レシプロエンジンには腰上と腰下という区分があります。

 

腰上はこの部分です。空気(酸素)と燃料が爆発してピストンが上下します。レシプロエンジンの肝心要の部分です。

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この動画はFIの4stエンジンですね……。

 

腰下は、上の動画の下部、扇形の部分(クランクシャフト)と、その他の部品からなります。(クランクシャフトの扇部は重り(カウンターウェイト)で、ピストンやコンロッドによる慣性を打ち消しています)

 

腰下の中心となる部品はミッションギアです。ピストンの上下運動を回転運動に変え、適切な力に変換して駆動系(チェーンやスプロケット)に出力します。腰下のOHは専用工具がたくさん必要で手間暇かかるため、「エンジンを載せ替えた方が早い(そして安い)」と言われている領域です。個人的に日曜メカニックで腰下OHができる人は変態だと思っています。

 

 

ミッションについては以下の動画が詳しいです。

www.youtube.com

なんだかわからないけど説明が丁寧ということはわかります。そして、文明ってすごいなと感じます。

 

偉そうに説明しましたが腰上OHは今回が初めてですし、腰下なんて手をつけたことはありません。

 

腰上OHの目的

なんで腰上OHしたか。別にしたくてしたわけではありません。

オイル漏れ

TWくんはヤフオクのインチキバイク屋から買ったのですが、納車してすぐオイル漏れに気づきました。シリンダーの左前からです。さすがインチキバイク屋、素人が30秒で気づく不具合も無記載です。評価が高かったので信用したのですが、悪い評価がついたら必死で「火消し」してるんでしょうか。当然というべきか、「ノークレーム・ノーリターン」の一言でおしまいです。

 

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画像元(https://blogs.yahoo.co.jp/wo3rider/2508623.html) 画像はセローですが、TWと同型エンジンです。クランクケースではなくシリンダーの付け根です。

 

そんなわけで、引き取ったときの気分は良いものではなかったのですが、「どうでもいいや」と今回の整備まで半年ほど放置していました。5-30Wのオイルだとけっこう漏れていたのですが、倉庫に眠っていた20-50Wのオイルに変えたらツーリング後に一晩置いて数滴くらいになりました。さすがに冬はオイルが硬すぎてエンジンがしんどそうでしたが^^; オイルは減りますが、足せばいいだけです。

 

ただ、実家ならいいものの、新居のマンションの駐輪場でお漏らしをさせるわけにはいきませんので、ここで修理が必要になったのです。 

オイル下がり

インチキバイクショップだからか、買って数日後にマフラーから白煙を吹くようになりました。白煙に気づいたときのがっかり感はなかなか言い表せないですね。

 

終わった……(´・ω・`)」って感じですね。すごく切ないです。

 

白煙はアイドリング時に多く出て、アクセルを回すとモクモクと出ます。でもこれはそんなにひどくなくて、夜間走行時に他の車に照らされると気になるくらいです。

 

動力性能が落ちることはないし、オイルは足せばどうということもないので、次第に「どうでもいいや」となったのですが、背中がオイルの焦げた臭いで臭くなるのが嫌でした。アップタイプマフラーだと、背中に排気が回るんですよね。カワサキのKDXに乗ってたときと同じ臭いがして、大学時代を思い出してしまった。 

エンジンのカチャカチャ音 

あとはエンジンが温まるとカチカチうるさいのが気になりました。ほんと、壊れそうな音です。タペットクリアランスの調整をしても変わらないし、カムチェーンテンショナーの張りは問題なかった。一度腰上がどうなっているか見ておかないとな、と思いました。

 

私は心配性なので、ピストンに穴が空いているのでは……とか、シリンダーがガリ傷だらけなのでは……とかものすごい悪い方に考えてしまうんですね……。

 

腰上開けてみてどうだったか

でも、蓋をあけたら大したことはなかったです。

ピストンさん

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ピストンのヘッド。オイル下がりしていた割には綺麗じゃないでしょうか。

 

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うっすらと縦傷がありますが、そんなにひどくはないようです。

今回はピストンリング、ピストンの交換はしません。はじめは交換する予定で、注文していたのですが……海外から注文したらぜんぜん届きません。ちなみにシリンダーもほぼ無傷でした。

 

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バルブ側です。汚いですが、そこまで? という感じではないでしょうか。

 

肝心要のバルブステムシールは

オイル下がりの場合、大抵の原因はバルブステムシールの劣化です。TWの場合たかだか600円のパーツですが、工賃だけで4, 5万円の覚悟は必要です。

 

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ここの部品です。上からオイルが落ちるのをせき止めています。バルブステムシールの劣化でオイルが下ってくるから「オイル下がり」なんですね。

  

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右上が新品です。二つとも、かなり怪しい雰囲気があります。ゴム部分がかなりゆるゆるなのではないでしょうか……。

 

磨き磨き磨き 

さて、新品のバルブステムシールを組んだついでに、いろいろ作業をします。こびりついたカーボンをキャブクリ+真鍮ブラシで落とせるだけ落とします。

 

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私は無精なのでこれぐらい落としたら「疲れた!」と投げ出してしまいます。「エンジン洗浄剤」ってほんとうに効くんですかね? カーボンって、そうとうしつこい汚れですよ……。

 

バルブすり合わせ後、灯油を注いでシールできているか確認しています(上の画像は灯油が入ってます)。20分ほどして減ってなければ良いようですが、5分くらいして見たら半分くらい減っていました。「めんどくさいから、まあいっか」と組むことにします。手ルクレンチで「えいやっ」と組んでおしまいです。

 

当然、新品のガスケットを用意します。液ガスは塗りませんでした。次開けたときめんどくさいので……。

 

腰上OHのイライラポイント

私は整備中スムーズにいかないとイライラしてしょうがないのですが、腰上OH時にもそれがありました。

 

  • エンジンハンガーのボルトが硬すぎる(緩まるとパキッと鳴るのが心臓に悪い)
  • カムスプロケのボルトが硬すぎる
  • カムチェーンが落ちないか不安
  • バルブのコッターピンをなくして大騒ぎ
  • カムシャフトが抜けない!
  • ピストンピンが抜けない!
  • ピストンがシリンダーに入らない!
  • ピストンクリップが入らない!
  • キャブが入らない!(←いつものこと)
  • ガスケットが砂を噛んでしまったけどもういいや……

まあでも、全体としてはスムーズだったのかな、と思います。

それよりも花粉があまりにもひどくて一分に一度は鼻を噛むと同時に「日本死ね!」と叫びながらの作業でした。

 

腰上OHの効果

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エンジン始動。チョークを引いてセルを回すとエンジンがかかりました。

すると、エンジン周りからおびただしい量の白煙が出てきました。今にも車体が爆発してバラバラになりそうな雰囲気です。

 

この瞬間、「終わったな、すべてが……」と、逆に死を前にした戦士のようなカタルシスを感じましたが、よく見たらエキパイについたオイルやゴミが焦げてるだけでした。マフラーからの白煙もはじめはひどかったですが、アイドリングを数分したら止まりました。

 

そんなわけで、軽く乗り回したのですが、オイル漏れも白煙もなさそうです。やはり白煙はバルブステムシールが原因だったようで。

 

エンジン音ですが、これも静かになりました。あのカチカチ音は何が原因だったのだろう? いまだに謎です。

 

でもあれだけカーボンを落としてすり合わせもがんばったのに、走行フィールは同じですね。「何も変わらねえのかよ、結局」と某ゲームのセリフをつぶやいてしまいました。

 

数十km走って、オイル交換をして全行程終了。 またしばらく走ってくれ、TWくん。

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