齟齬

社会とマイノリティの「齟齬」を描く御厨鉄のブログです。

日本文化ほど自己愛の強い文化はない

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日本人は日本人であることを恥じているのか?

Are Japanese people ashamed of being Japanese? | Japanese (language)

という質問に、Martin Basinger氏が答える。

ちなみに以下のMartin Basinger氏の回答は、圧倒的不支持によって表示されない笑 原文はページ下部の「2 Answers Collapsed (Why?」をクリック。

 

例外はあるにせよ、一般論として述べる。

日本人は全然恥じていない。まったく逆だ。私はいろんなところへ旅をしたことがあり、四つの異なる国で生活した経験もある。しかし日本文化よりも自己愛の強い文化には遭遇したことがない。

もし君が日本に行って、新しい知り合いができたとする。まず聞かれるのはこうだ。「日本はいかがですか?」 しかしここは西洋世界ではない。質問者は、異国の文化に基づく興味深い視点を知るための正直な回答を求めているのではないのだ。日本ではこの質問は君が考えるよりも難しい。なぜならほとんどの日本人は、日本への絶対的な賞賛や賛美以外の外からの発言を一切受けつけないからだ。日本人が君に興味をもって、また君と会いたくなるかどうかはそのとき――まさにそのときに決まる。これは白か黒のようにはっきりしている。君が日本を欠点のない(そして君の国よりよい)地球上でもっともすばらしい国と思うか、君は「日本侮辱者」「日本嫌い」となるか、そのどちらかだ。君はこの思考形態をQuoraの私の回答に関する日本人の発言にも見つけることができる。

根本問題は、私の不健全な意見では、日本の教育システムにある日本文化の優越性に日本人が熱狂していることにある。明治政府は、開国したときに文化的なショックを受けた。そして前時代的で洗練されていない自分の文化を外国と比較することが可能となった。日本人は「鎖国」というエコーチャンバーの世界の中に生きてきた。そこでは日本文化の唯一性や優越性についての現実離れした奇妙な概念が広がっていた。これが自己評価とプライドの土壌となっていたのだが、これが一晩で消え去ってしまった。

そこで明治政府はエコーチャンバーを維持する手法を思いついた。日本人が文化的に完敗した一方で、なお日本人が自分自身について好感を持つ方法だ。彼らは「Nihonjinron(日本人論)」というエセ科学によって別の歴史と現実を発明し、それをトップダウン型の日本の学校制度で教えた(今日でも続いている)。

「Nihonjinron」は、日本「人種」や日本文化のユニークさに関するまったくイカれた、非科学的な理論の寄せ集めだ。「Nihonjinron」は日本人を理解するため、非日本人と共鳴するためのロゼッタ・ストーンなのだ。洗脳を理解するためには、すべての日本人が、有名な「奇妙な」ふるまいを彼らが教育課程で課せられていることを知ることだ。

日本のメディアは「Nihonjinron」の一翼を担っている。政府の奇妙な全体主義統制である「Kisha club(記者クラブ)」を通じて、メディアは日本人のユニーク性、覇権性のエコーチャンバーとなっている。

日本人が恥ずかしく思うような情報を知るためには膨大な努力が必要だ。だから日本人のほとんどは、自分の文化を恥ずかしくおもうような経験をしないのである。

*エコーチャンバー……SNSにおいて、価値観の似た者同士で交流し、共感し合うことにより、特定の意見や思想が増幅されて影響力をもつ現象。攻撃的な意見や誤情報などが広まる一因ともみられている。

ロゼッタストーン……ヒエログリフ解読の鍵となった石碑

 

私はけっこう江戸の文化が好きで、未開だとは思わないけど、それはさておいて。

この意見は圧倒的多数の不支持(down vote)を獲得し、Martin氏のアカウントはこの回答を最後に停止されてしまう。でも私は「日本人論」のいびつさをうまく捉えていると思う。

 

海外旅行をした人ならわかると思うが、「中国人か?」と聞かれたときに「いいえ、日本人です」と答えるときに、一種の独特な優越感というか、誇負を感じるときがある。「どうだ、俺は日本人だ」みたいな。

「日本人であることを愛する」とか、「日本文化を愛する」って、たしかに歪なメンタリティーな気がする。日本人とは何か、日本文化(とされているもの)とは何かを最近調べるけど、そのたびにほころびが出てくる。

たとえば武士道は近代以降のでっちあげ。寿司も天ぷらも日本発祥ではない。日本人が農耕民族というのも嘘。最近では江戸しぐさなんていう「偽りの伝統」も発明されていたけど、あれほど露骨ではなくとも、日本文化の問題はたくさんある……。

 

「日本人論」も非常にうさん臭いんだよね。柳田国男丸山真男山本七平とか。代表的な日本人論の土井「甘えの構造」とか岸田「ものぐさ精神分析」は完全に「エセ科学」だし。

 

でも、そういうものをありがたがって受け止める人が大半。Martin氏のいう「日本人が恥ずかしく思うような情報を知るためには膨大な努力が必要だ。」ってのは本当にそう。ネットも書籍も、ノイズが多すぎて大半の人は良質な情報にはたどり着けない。

 

しかし、なんというか。Martin氏のアカウントが停められたことは非常に残念である。日本について日本人以上に知っているのに。真実はほとんどの人には受けいれられないものなんだなあと思う。

 

結論

日本がほんとうに「ユニークで優れた国」なのかどうかは、眉に唾つけて考えよ。

「気持ちのいい嘘」に騙されるな。

 

……ということである。

ちなみに私は生粋の日本人である。いちおう弁明しておこう笑