齟齬

社会とマイノリティの「齟齬」を描く御厨鉄のブログです。

齟齬

お知らせ:mikuriya-tetsu.comに引っ越しました

よき人生の鍵は「自己決定理論」にある

あなたのやり方で生きるくらいなら、自分の人生で死んだほうがまし。 Lauren Oliver, Delirium 今日は自己決定理論(Self-determination theory, SDT)について紹介します。 自己決定理論とは、健やかに楽しく生きるためには自己決定が必要だという考え方で…

褒める教育のまちがい――報酬型教育の危険

処罰と報酬はコインの表裏である 子どもたちを罰するのはよくない。 褒めることが「進歩的な」教育だ――。 こういった考え方は一般的です。 しかし報酬を与えることは、子どもたちを都合の良いように操作し、管理することに他なりません。 「報酬型」の教育は…

マルクス主義はなぜ全体主義化するか?

マルクス主義は自由と平等に始まり、支配と抑圧に終わった 共産主義を目指す国家は抑圧的でした。 独裁政権による全体主義化。 民衆虐殺(デモサイド)。 共産主義は理念としてはすばらしいが、理想主義にすぎない、としばしば言われます。 あらゆる抑圧から…

分断して統治せよ――冷たい社会の起源

私たちはだれもが分断されています。 現代社会は階級社会です。 階級のあるところに支配があり、支配があるところには分断統治divide and ruleがあります。 国家による統治だけではなく、私たちの職場や家庭においても分断統治は存在します。 その結果が「エ…

家族主義――家族教という宗教

家族は廃止すべきです。 かつて、神のために死ぬことは美しいとされました。国家のために死ぬことは美しいとされました。 現代では「家族のために死ぬこと」が理想とされます。映画やドラマでは家族のために自分を犠牲にすることが感動のシーンであり、また…

悪の核――「ダーク・コア」見つかる

人間の悪の根源――ダーク・コア見つかる。 ダーク・コア。 良い響きの言葉だ。 物質や病変としての「悪の核」が見つかったわけではない。 悪人を示す、ひとつの心理学的指標が見つかったようである。 Last Judgement by Fra Angelico(前も使った) ダークコ…

異常に社会的支配傾向の高い国、日本

犬が犬を喰らう国 社会的支配傾向(Social dominance orientation, SDO)という比較的最近の心理学のスケールがある。 簡単にいえば、特定の集団が他の集団を支配することを良い、好ましいと考えるような態度のことである。そして統計によれば、日本は社会的…

無政府主義と共産主義の違い

無政府主義と共産主義の違いは、簡単なようで難しい 無政府主義と共産主義の目指す社会は似ています。 いずれも目指しているのは階級のない、完全に平等な社会。 資本主義と無政府主義は敵対しますが(アナルコ・キャピタリズムはアナーキズムではない)資本…

日本、この生きづらい国

マスコミによれば、この国はすばらしい国である。 日本文化はユニークで優れている。国民は心優しく親切だ。アニメや漫画は実に愉快で、何もかもハイテク。高い技術力と生産力を誇り、治安はよく、料理はおいしい。外国人が憧れてやまない国……ということだ。…

心の病は社会の問題か、個人の問題か

資本主義下で精神的に健康であることは不可能である Susan Rosenthal 「死にたい」という感情は合理的です。 毎日辛い日々を送っている人が、これからの人生でも辛い日々を送らなければならないことが明白なら死にたくもなるでしょう。 だれだって満員電車は…

頭の中の歯車――シュティルナーの思想

人間よ、君の頭のなかにはおばけが出る。 君の頭は狂っている! ドイツの哲学者、マックス・シュティルナーは言いました。 彼の主張は、150年たった今の日本にも十分に当てはまります。 人びとはありもしないものを信じており、しかもその信仰が日々強化…

宗教は権威主義である

権威主義者は宗教にハマりやすい。 ……と、「水は低きに流れる」ような当たり前のことが書かれていたので紹介します。 権威主義的パーソナリティとは、「硬直化した思考により強者や権威を無批判に受け入れ、少数派を憎む社会的性格(パーソナリティ)のこと…

犬好きと支配的人格

イヌが好きです。 イヌ好きの人が苦手です。 そんな人は多いのでは? イヌ好きは支配的な性格の傾向がある、という研究があったので紹介します。 Arugula and his dog by Raphael Kirchner [:contents] イヌと人類 はじめて家畜化された動物 イヌは人類に最…

アナーキズムと私有財産

私有財産とは何か。 多くのアナーキストは「私有財産」を悪とみなします。 「アナーキズムの父」プルードンは、大胆にも「私有財産は窃盗であるProperty is Theft」と主張しました。 私有財産は強者による弱者への搾取である――と主張したプルードン氏 私有財…

御厨鉄の愛した本 前編

本棚を見ればその人がわかる 「私の読書歴が知りたい」 というようなメールがあったのでこちらで回答します。 学生時代の本棚。汚いです……。 ティーンエージャー「俗物図鑑」にハマる 読書への目覚め「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙」 本格的な読…

楽しいアナーキズム

私たちは政府や警察、司法、企業、親の躾など、私たちを管理し、搾取してきたすべての強制の装置がなければ社会はカオスになると教え込まれている。つねに犯罪に脅かされ、生活には恐怖がつきまとうようになると。 私たちは強い「リーダー」が何をすべきかを…

自由とは反抗する勇気である――ラスキの思想

自由の要諦は、究極において常に反抗する勇気である ハロルド・ジョセフ・ラスキ(1893~1950)。 多元的国家論を唱えた英国の政治学者。 ロンドン大学教授で、労働党の執行委員長を長く務めた。 個人的にはノータッチだったのだけど、図書館で著書「近代国…

生きる権利――マックス・バジンスキー

自分の人生をコントロールできていない人――特にコントロールしようともしない人は、死んでいるも同じではないでしょうか。 "Q Train" by Nigel Van Wieck Max Baginski マックス・バジンスキー(バギンスキー)というドイツ系アメリカ人が優れた文章を書いて…

文明社会という悪夢

文明は戦争です。 文明は大量殺人です。 文明は暗殺です。 文明はレイプであり、拷問です。 文明社会という悪夢 文明人は自分以外のために生きる ほんとうの人間は疎外される まとめ 文明は事故である 人類はどうすればよいのか 歴史上の数々の犯罪。 これら…

天才は物忘れが激しい?

忘却は知性です。 私たちは忘れる生き物です。 鍵をどこに置いたかを忘れた。 スーパーで何を買いに来たか忘れた。 今会話している人の名前が思い出せない。 うんざりですね。 自分がとんでもないバカに思えてきます。 しかし、忘却はそう悪いものでもないよ…

TCS アナーキーな子育て

「子ども」は抑圧され、支配されている。 子どもはつねに管理され教育され、支配されなければならない「人間未満」として扱われます。 相手を「人間未満だ」として支配を正当化することは古くからの伝統です。奴隷制がそうだったし、現代でもエリート官僚が…

農耕が人類を幼児化させた

あなたの先祖が長いあいだ農民であったならば、あなたは立ったまま死ぬよりはひざまずいて生きるほうがよいと決めた人々の血を引いていることになる。(一万年の進化爆発/グレゴリー・コクラン、ヘンリー・ハーペンディング) 人類は幼児化していった。 歯は…

都市はなぜ孤独なのか

あなたは都市になじめますか? 田舎か都会か――という議論は昔からある。 私は完全に田舎に住みたいタイプです。ソローやカジンスキーのように山小屋で暮らしたいです。 どう考えても、人間にとって都市は異質な場所です。現代のような都市が生まれたのは16…

心理学的ネオテニー 未熟な人格と適応

見た目は中年、中身は子ども。 そういった人は現代ではめずらしくないと思います。身近に数人はいるでしょう。 大人になってわかったことは、未熟な大人が非常に多いという事実です。 これは実は、近現代の特徴なのかもしれません。 by 村上隆 心理学的ネオ…

ネオテニーと日本人

「古い日本は妖精の住む小さくて可愛らしい不思議の国であった」――チェンバレン 私たちは家畜化されています。 オオカミに対するイヌ。ライオンに対するイエネコ。 それらと同じように、私たちは言わば「家畜化された猿」です。 家畜化された動物の顕著な特…

自己家畜化――人間の隷従の本能

人間は家畜化されている――遺伝子レベルで。 という、個人的に衝撃的だった学説を紹介します。 ホモ・サピエンスはネアンデルタール人などの「野生の人間」と比べて、家畜化された性質を強くもっているようです。 人間は自由を欲する存在だ、と私たちは信じて…

人はなぜ陰謀論を信じるか

アメリカ人のうち、1200万人が爬虫類人がアメリカを支配していると信じている。 ブッシュが同時多発テロを起こしたと考える人は1億3800万人で、人口の半数近く。 また1億1000万人が地球温暖化は嘘だと考えており、9000万人が地球外生命体…

怒りを受容する

人間はなぜ怒るのでしょうか? 怒りは悲しみや楽しみなどとは違い、抑圧すべき、非難すべき「下等」の感情なのでしょうか? 誤解された感情である怒りについて考察したいと思います。

裏切りは許すべきか

裏切られたときほど腹が立って憤ることはありません。 物に当たったり、怒りのあまり泣きだすということもあります。 私たちのだれもが、人生のなかでさまざまな裏切りを経験します。 友人が陰口を言っていた パートナーが浮気をした 同僚が仕事のミスを押し…

マルクスの「疎外」とは何か

私たちはこの傷ついた世界を癒やさなければいけない。私たちが今日見る混沌、絶望、無感覚な破壊は、人々が互いから、環境から感じる疎外の結果だ。マイケル・ジャクソン 私たちは疎外されています。 幸福や自己充実感はあなたのものだ。資本主義はそう約束…