齟齬

社会とマイノリティの「齟齬」を描く御厨鉄のブログです。

哲学

畜群と高級な人間――ニーチェの道徳観

今日――偉大さは可能だろうか?(善悪の彼岸) ニーチェは好きですが、彼の思想でいまいち掴めないところがあります。 彼が人類を「高次の人間」と「畜群」とに分けたことです。 この不平等の思想はナチスに利用されました。 優秀な民族が下等な民族を支配す…

ルソーの文明批判について

「文明は完全に腐敗している」とルソーは言った。 私たちは文明は進歩してゆくものであり、その進歩は喜ばしいものだと信じています。 文明のないところに贅沢な生活はありません。学問や文化、芸術や文学はない。自動車はなければ冷蔵庫やスマホもない。 し…

頭の中の歯車――シュティルナーの思想

人間よ、君の頭のなかにはおばけが出る。 君の頭は狂っている! ドイツの哲学者、マックス・シュティルナーは言いました。 彼の主張は、150年たった今の日本にも十分に当てはまります。 人びとはありもしないものを信じており、しかもその信仰が日々強化…

自由とは反抗する勇気である――ラスキの思想

自由の要諦は、究極において常に反抗する勇気である ハロルド・ジョセフ・ラスキ(1893~1950)。 多元的国家論を唱えた英国の政治学者。 ロンドン大学教授で、労働党の執行委員長を長く務めた。 個人的にはノータッチだったのだけど、図書館で著書「近代国…

マルクスの「疎外」とは何か

私たちはこの傷ついた世界を癒やさなければいけない。私たちが今日見る混沌、絶望、無感覚な破壊は、人々が互いから、環境から感じる疎外の結果だ。マイケル・ジャクソン 私たちは疎外されています。 幸福や自己充実感はあなたのものだ。資本主義はそう約束…

機会平等と結果平等の違い

自由とは平等です。 平等とは自由です。 ということに、同意できる人は少ないかもしれません。 平等という概念は、必要以上に複雑になっています。「自由と平等はトレードオフ。両立しない」と考える人すらいます。 「平等」には、「機会平等」と「結果平等…

一次元的人間とはなにか―マルクーゼと資本主義

マイホーム、自動車を求めて働く――「普通に」生きていても人生がつまらない理由 「人々は自らを自らの商品のなかで認識する。彼らは自動車、ステレオセット、二階建ての家やキッチン設備のなかに魂を見いだす」(「一次元的人間」) もっとも資本主義を強烈…

必要悪という矛盾

「必要な悪」が存在しうるか? アナーキズムを研究していると、必要悪という言葉にしばしば遭遇します。 たとえばホッブズは、自然状態では「人々は常に恐怖の中、暴力死の危険の下に生き、その生活は孤独で、貧しく、汚く、動物的で、人生は短命」としてお…

ルソーの「自然状態」について

自然人は衝動的に暮らし、孤独だった。そして「同情心」を持っていた――ルソーは自然人について特異な考え方をしています。 図書館でルソーの「人間不平等起源論」を借りてきました。そこからルソーは初期人類についてどのように考えてきたのか? を引用して…

権力は悪である

権力には良い権力と悪い権力があるのか? それとも、権力は中立的な概念なのだろうか。 真の意味で社会的なるものは、個人の上に及ぼされる圧力、強制、命令であり、したがって統治である。(個人と社会 / オルテガ・イ・ガセット) 私たちのほとんどは、被…

偽りの自分、本当の自分

あなたはほんとうの自分を生きていますか? と唐突な問いですが。 どうだろう、わからない……という人が大半ではないでしょうか。 現代社会の特徴は、ひとびとの精神が引き裂かれていることにあります。 私たちは、学校や家庭において、「あるべき自己」を教…

なぜ世界は残酷なのか

gur********さん2014/10/401:59:15なぜ世界はこんなにも残酷なのだろう。学校では、見た目で決めつけて何かに特徴や個性をイジメの武器にする。僕今まで、暗黙の了解って言うのがわからなかったんですよ。 イジメなんてどうせなくならないって皆は多分思って…

文化は暴力か?

文化はときに、暴力として働きます。 たとえば、体罰の議論。 「体罰は文化だ」と主張されるとき、「文化」によって暴力が正当化されます。 日本人論を調べていますと、それが「暴力を正当化する装置」であることを強く認識させられます。 日本人は「暴力的…

「人間の本性は悪である」という説に対する反論

昨日、性善説を肯定するような心理学研究を紹介したのですが(人間の本性は善である――基本的に - 齟齬)、「そんなはずはない」という反論がありそうです。 The Cold Devils - Felicien Rops 1860 人間の本質は善である――という考え方は、あきらかに私たちの…

隠遁を超えて

隠者ってどうなのか? シリーズ第四段。 このテーマを長く続けているのは、読者に問われたからというのも理由のひとつだが、最近の私個人の変化とも関係しているからである。 かつて私は隠遁に強く恋い焦がれていた。20代の大半は、隔絶された田舎での隠遁…

隠遁は最終目標ではない

私は隠者を愛する。それは彼が、いつか豊かな果実を実らせる種子だからである。もし地中に篭ったままなら、私は彼を愛せないだろう。 というようなことを書いた。 隠遁についてさらに考察する。 「沈黙の声」より 神秘主義界隈で著名なブラヴァツキーの「沈…

隠遁生活が与えるもの

ツァラトゥストラは、三十歳になったとき、そのふるさとを去り、ふるさとの湖を棄てて、山奥にはいった。そこでみずからの知恵を愛し、孤独を楽しんで、十年ののち倦むことを知らなかった。しかしついにかれの心の変わるときが来た。……(ツァラトゥストラは…

複雑な文明人、単純な自然人

キリスト教的な「弱い奴や病んだ奴が偉い」的な考え方は誤りで、「他人に使われる」ことが美徳になるような労働倫理も間違いなのだと思います。 社会はあらゆる方面から個人を無能だと決めつけます。学校は「お前は無能だ」と言いますし、会社も「お前は無能…

須原一秀の自死はどうなのか?

あるきっかけで、「須原一秀」という人物を知りました。どうやら哲学者のようです。 須原 一秀(すはら かずひで、1940年(昭和15年) - 2006年(平成18年)4月)は、日本の哲学者・社会思想研究家。元立命館大学非常勤講師。元龍谷大学非常勤講師。論理学・…

なぜ親たちはモンスター化したか

最近忙しいわたくしは、今日も所用があってバイクを走らせていたのだが、そのあいだラジコで放送大学を聞いていた。 放送大学ってすごくダウナーというか、私は長距離運転するときは必ず放送大学を流すようにしている。音楽はいずれ飽きる。耳ざわりになる。…

武人と司祭の権力史

ニートとかホームレスの人たちって、時代が違えばちょー偉い人だったんじゃないの、という話。 近代社会が始まったのは、武人と神官の立場が逆転したときではないかと最近考えている。 長い原始共産制から抜けだして人間に階級ができあがったとき、そこにあ…

単純に生きること

ここのところネットや電子書籍でばかり文章を読んでいる。 だが、やはり紙の本の方が好きだ。少し古くなった本を開くときのぼってりした臭いやページの黄ばみがたまらん。 本棚をガサゴソしていると、久しぶりにオルダス・ハクスレーの「永遠の哲学」が目に…

個人主義的無政府主義記念日

「この思想 いいね」と君が言ったから 1月25日は個人主義的無政府主義記念日(字余り) やっと自分の落ち着くところを見つけた。 私は個人主義的無政府主義者だったんだ。 長らく、自分の思想がわからなかった。右翼よりは左翼だけど、共産主義にも社会主…

徴税は奴隷労働である―Nozickの議論

Nozickのおっさんは変なことを言うなあ、と前々から思っていた。 所得税は強制労働であるというのだ。 ロバート・ノージック(Robert Nozick、1938年11月16日 - 2002年1月23日)は、アメリカ合衆国の哲学者。ハーバード大学哲学教授。 労働で得られた所得に…

内向型人間と外向的人間は違う世界を見ている

人間には生まれ持った性質がある。 内向性、外向性はそのひとつである。 https://cupofjo.com/wp-content/uploads/2014/06/Gemma-Correll-introvert-extrovert-cup-of-jo.jpg フロイトは内向性を病理的なものとみなした。 一方でフロイトと袂を分かったユン…

日曜の夕方の気持ちは何なのだろう……。

「人生においては、歯科医のところと同じようなことが生じる。すなわち、いつでも人はこれから本当のことが始まるのだと思っているのだが、そのうちにすんでしまうのである」ビスマルク イラスト:Steve cutts 日曜夕方の気分はどうだろうか。 嬉しいだろう…

三十路ニートだけど死ぬしかないのか?という質問に対し

Virali Modi―障害者権利活動家。14歳のとき、マラリアで意識を失う。以降車椅子生活。2014年、印車椅子美人コンテスト二位。 30歳の大学中退者で、どうやって生きたらいいのかわからない。何年もバーチャルな世界で無駄にした。どうやって生活を再開できる…

文化資本とは何か―負け組が這い上がれない理由

なぜ勝ち組は勝ち続け、 負け組は負け組のままなのだろうか。 一体どこに差があるのだろうか。 ピエール・ブルデューは、文化資本という概念によって 「カネとコネ」だけではどうにもならない現実を素描する。 文化資本の高そうな家族(エドガー・ドガ The M…

天皇制は暴力と抑圧で成りたっている

日本は「いじめ社会」である。 いじめは学校だけにあるのではない。 市民は警察にいじめられ、会社員は企業にいじめられている。 いじめ社会の根底にあるのは、法秩序や正義によってではなく、 暴力で他者を支配しようという考えに他ならない。 天皇制と暴力…

賃金奴隷wage slaveから解放されるために

なぜ学校へ行かなければいけないか? なぜ働かなければいけないのか? 人々はこう問う暇も与えられず、教育の場に就き、次には労働の場に就く。 それが「当たり前」で「常識」だからだ。 立ち止まって「なぜ?」と問うことは許されない。 君は身動きをとれな…