齟齬

社会とマイノリティの「齟齬」を描く御厨鉄のブログです。

狩猟採集時代、みんながセックスさせてくれた

私はビッチが好きです。

 

だって、だれにでもセックスさせてくれる人は、優しいじゃないですか?

 

優しい女性が好きです。

 

f:id:mikuriyan:20180502200412j:plain

Photo by Katsumi Watanabe

レイプは本能か

ここ数日、レイプは人間の本能か、学習かということを調べています。が、これは学界でもかなり激論中のようで、まだ決定的な答えはないようです。

 

1980年頃、フェミニズム全盛のときは、Susan Brownmillerなどに代表される「レイプは男性優位の抑圧的文化によるもの」というような主張が優勢でした。

レイプは女性に対する心理的優位のシステムを維持するための男性による発明である。男性は西洋社会において、優勢な性差別主義のエートスによって、レイプを女性に対する恐怖に打ち勝つための手段を教え込まれる。また女性も同じシステムによって男性を恐れることを学ぶ。

けっこう説得力はあるんですけどね。でも、また「やっぱり本能じゃねーの」という主張が優勢になっているようです。

 

私は例によって、人間の本性human natureを調べたいときには狩猟採集民を調べりゃーいいのでは、と思いました。Quoraに良い解答があったので一部抜粋して紹介します。

 

初期人類においてレイプはどれほど起きたのか。それは私たちにはどれほど遺伝的に継承されたのか。

How much rape were our early human and hominid ancestors involved in and how has that contributed to our genetic heritage? - Quora

Ceirion Jonesさんの回答。

 

私はちょうど、ニューヨーク・タイムズのベストセラーであるChristopher RyanとCacilda Jethaの「Sex at Dawn」を読んだばかりだ。

 

前史時代における人々は、一対一の性的関係(モノガミー)を持ち、それが自然の秩序だと考えられている。しかしこれはまったくの間違いだと彼らは主張する。一対一の組み合わせは、狩猟採集社会から農耕社会に以降したときにおいて初めておきた現象なのである。

 

トマス・ホッブズは、前史時代の人々は飢えており、短命であり、野蛮だったと主張したことで有名である。実際には健康的で公正幸福であり、私たちと同じくらい困難を避けていたのだが。

 

いつでも食べ物の祝宴ができるような、互いにいたわることのできる愛の部族を想像することができるだろうか。現代科学では、私たちは2000kcalが必要だとされるが、これは一日で3時間だけで獲得することができた。想像して欲しい。私たちはほとんど少数しか存在しないが、最低限の努力で狩猟を行うことのできる脳を持っていた。これはエデンの園ではないかな?

 

狩猟採集の女性は性的に無差別的だったので、だれも父親がだれかを知らなかった。これはpartible paternity(分割父権?)と呼ばれる。部族が社会的な結束によって大きくなると、それらは小集団に分裂した(「ダンバー数」でググってほしい

*1)。

 

……男性がハーレム社会を形成するときには、男性は女性よりもずっと大きくなる。オスのゴリラはメスの倍ほど大きい。彼は他のオスたちとメスを巡って戦わなければならないからだ。しかし人間の男女比は20%程度にすぎない(訳注:身長ではなく、体重の比だろう)。このことが示唆するのは、私たちは男性と女性がかなり平等に進化したということである。

 

……男性の精液は、そのはじめと後では成分が異なることが知られている。はじめの酵素は新しい精液を他の男性の精液から守る(防御)ことを目的としており、後者の精液は他の精液の動きを遅らせる(攻撃)酵素を含む。

 

つまり、人類はたった一万年前に、農耕社会がモノガミーを社会形態の主要なものとしたのである。このことが、今日の男女が相互の信頼関係を維持するのが難しい理由である。

 

ここで私たちの社会に戻ろう。核家族は、安定した社会の典型例と見られているが、生物学的な必然性には反している。したがって数百万人の人々が不倫や不幸な関係に陥り、姦淫が横行し、離婚騒動や片親の子どもたちを生みだす。

 

 

↑Sex at Dawnの和訳本。(英語版は1200円なのに、翻訳本だと3800円とえげつないです。)

 

狩猟採集社会では夫婦関係はなかったし、「うちの子」という考え方もありませんでした。なんだか想像しがたい世界ですが、人類はそういった社会を何万年も続けてきたようです。

 

男性のペニスの形状や、精液の性質は「暗黒時代の集団レイプの証拠」と私は教わった記憶があるのですが、現実には「楽しいセックスパーティの証拠」だったんですね。

 

 

だれでもセックスできる社会でレイプは可能か 

狩猟採集世界が徹底した平等主義で、「優しい世界」だったことは以前書きました。

「優しい世界」は狩猟採集社会にあった - 旧齟齬

 

狩猟採集民は、儀式やイベントごとを超平等に行うことでも知られていますが、性交においても平等であり、男女のだれもがセックスができたことでしょう。「輪になってセックスしよう」の世界です。けしからんですね。

 

さて、本題に戻ります。「このような集団内においてレイプは起きうるのでしょうか?

 

私はそうは思いません。なんか狩猟採集の社会のなかでは、レイプという発想がないと思うんですよね。狩猟採集社会から追放された者がレイプする、というのはありそうですが……。

 

レイプは農耕文化などの文明の発展とともに生まれた、かなりの部分社会的なものなのではないでしょうか。

 

*1:

ダンバー数(英: Dunbar's number)とは、人間が安定的な社会関係を維持できるとされる人数の認知的な上限である。ここでいう関係とは、ある個人が、各人の事を知っていて、さらに、各人がお互いにどのような関係にあるのかをも知っている、というものを指す。 ダンバー数は、1990年代に、イギリスの人類学者であるロビン・ダンバーによって初めて提案された。彼は、霊長類の脳の大きさと平均的な群れの大きさとの間に相関関係を見出した。ダンバーは、平均的な人間の脳の大きさを計算し、霊長類の結果から推定する事によって、人間が円滑に安定して維持できる関係は150人程度であると提案した。

 

……「ある個人が、各人の事を知っていて、さらに、各人がお互いにどのような関係にあるのかをも知っている、というものを指す」

 この記述って、ベネディクト・アンダーソンの「想像の共同体」と深い関係があるような気が。集団から国家への以降は150人以上の集団体になったときに起きるのかも