齟齬

社会とマイノリティの「齟齬」を描く御厨鉄のブログです。

オリンピックという負債

なんだかテレビつけたらオリンピックの話題ばかりでつまらない。私はスポーツが割と好きだけど、だれかが動き回っているのを見ても楽しくない。

 

日本ではオリンピックといえば「とってもすばらしいもの」という扱いだけど、世界的には、オリンピックの存在意義がいまいちわからなくなってきているらしい。

 

経済効果は幻想だった

オリンピックには何兆円もの金がかかる。ソチ冬季オリンピックでは1兆円の予算だったけど、結局5兆円近くの金がかかった。

 

近年の経済学の研究では、経済効果はほとんどないか、マイナスであることが明らかになってきている。たとえば1992年のバルセロナオリンピックが、バルセロナを国際都市に引き上げた、とされている。しかしシカゴ大学の経済学者のAllen Sandersonは、バルセロナの成長率とマドリードの成長率の間に統計的な差はなかったとしている。 

 

旅行者が増えて経済効果があるかと思いきや、そうでもないらしい。結局、人が集まっても、オリンピックの混雑を嫌って都市を離れる旅行者やビジネスマンを考えるとトントンのようだ。

 

大会が終わったあとにも問題がある。オリンピックの会場が巨大な負債になることだ。施設の維持費は年間何十億円の金がかかる。その維持費のせいで、民間は買いたがらない。いつ何の役に立つかもわからない、とんでもない金食い虫のできあがりだ。

 

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リオオリンピック後に残された競技場。

 

そんなわけで、オリンピックの開催国になろうという国は稀になってしまった。そりゃそうだ。何のメリットがあるのかわからない。2004年の大会には20もの都市が入札したが、2020年の大会には5の都市、2022年の冬季オリンピックでは中国とカザフスタンの二カ国のみ。

 

2024年の夏季オリンピックでは、ボストンが入札していたが、市民団体が猛反発して辞退となった。つぎにはブダペストも猛反発で辞退(民主主義だねえ……)。

 

 

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このロゴ、結構好き。

 

そんなわけで、存続自体が危ぶまれるオリンピックなのだけど、なぜかノリノリの日本の不思議。

 

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おめでとう、ニッポン!

 

なんでか考えてみると、第一に日本は土建屋のための国だからだろう。土建屋というか、建築マフィアというか。先進国とは思えないみすぼらしい家屋の間を、世界一贅沢なぴかぴかの道路が走る国なもんで。あとはマスコミ。いずれにせよ、既得権益が利益をあげるだけ。

 

第二は政治的安定もあるだろう。とりあえず、オリンピックまではがんばろう、的なムードを醸成する。オリンピックがきたら何もかもよくなる!それまでは一致団結してがんばろう!

 

なんとなく、今の日本は大戦末期のムードと似ている気がする。

 

ロスでええがな

ところでオリンピックに批判的な経済学者のジンバリストという人は、「入札システムを廃止し、永続的な開催国を決めるべき」として、次のように述べている。

私たちは夏季オリンピックに適した場所を知っています。ロサンゼルスです。すでに施設が整っており、交通インフラも十分発達しています。そしてエンターテイメントが中心的な、世界的大都市だからです。(Olympic bids hit a low as few countries want to host the games - BI

 

たしかに! 夏の東京でオリンピックなんて狂気の沙汰だよ。もうずっとロスでいいじゃないか。