齟齬

社会とマイノリティの「齟齬」を描く御厨鉄のブログです。

なくならない職場いじめ―「お前のため」という暴力

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昨日、いじめが日本社会を成立させていると書いた……。

いじめの心理―いじめっ子、傍観者、いじめられっ子

 

いじめは学校だけじゃないわけ。

会社もそうだし、家庭もそう。

 

最近「デートDV」なんて言葉があるけど、

もっともプライベートな関係である恋人関係にも「いじめ」が潜んでる。

 

いじめは、潜在的に罪悪感を生む。

いじめることは苦しいことなのだ。

 

そこで発明されるのは、「お前のため」という論理だ。

 

「お前のためを思って」

 

この言葉がこの世界でもっとも凝縮された邪悪なクソだということは、

毒親の元で育った人なら痛いほどわかるのではないか。

 

 

……逆に言えば

みんなが自分のために生きることが可能な社会となれば、

いじめはなくなるのかもしれないね。

 

さて、 

なぜ職場いじめが日本で蔓延しているのか?

というQuoraの質問から引用。回答者は上海出身のNell Zhangさん。

原文:Why is office bullying so common in Japan?

 

私は日本人のボーイフレンドに、よくこう聞いたことがある。

 

「なぜ職場の先輩は私をいじめるの?」

 

新人で、ただ外人(「日本人顔」を持ち日本語を話せるのに)であるというだけで、日本の昔からある会社に勤めて、最初の三ヶ月は悪夢のようだった。

 

私の教育係となる先輩がいた。彼は私に文字通り、「初めからすべて」教えた。

電話対応の仕方。笑顔とお辞儀をしながら電話に出ること。A3紙をA4紙に印刷する方法。他の部署や顧客にメールをどう送るか、報告書のエクセルの書き方、フォント、線の種類、文章……すべて。

 

それはよかった。もし、彼がこういったように「教育」しなければ。

 

「頭を使えよ! まあ、もし頭があればだけどな」
「お前はバカか?」
「自分が恥ずかしくないのか?」

などなど。

 

ずっとショックだったことは、彼がすべての同僚たちの前で私を叱ったのに、だれも彼を止めなかったし、だれも何も言わず、目も向けなかったこと。

 

私は完全にショックを受け、混乱した。彼の問題は何か? 職場の問題は何か? 私の問題は?

 

私は恋人に聞いてみた。

 

「なぜ彼らは私をいじめるの?」

 

そしてこれが私達の会話だ。

 

彼「かわいそうに……。本当につらいことだ。日本では新人はいつもしごかれる」

私「私が新人なら、彼らは私を虐める権利があるの?」

 

彼は、私の教育係(Dと呼ぼう)が何をしたかを聞いた。

Dが私に身体的な暴力を振るったか、私が何もミスをしていなくても暴言を吐いたか、Dが私に不可能な仕事を命令したか、Dが私に悪いことを教えたり、私のミスを無視したか、Dが私を無視/反発するように周りにけしかけたか。

 

私はいいえ、と言った。

 

彼「それならDはいじめてないよ。彼は厳しく教育してるだけ」
私「だれかを教育するときに、あなたも脳タリンとかバカとか言うの?」
彼「実のところ、そうだね。日本では古くから、とても厳しい「修行」の伝統が職人たちの間であったんだ。教育者は半人前に対して厳しく接したり、叫んだり、罰したり、奴隷のようにこき使う、叩く、侮辱するなどした。一人前になるまでそれが続く。厳しさは教育者の責任だと考えられている。それは「彼らのため」なんだ。この修業精神が学校や、会社にも残っている。先輩は後輩に、厳しく、辛く当たるよう期待されている。いかなる方法をもってしても、ケアし、守り、教育し、導く(「面倒を見る」)ことが課せられている。彼らにはそうする権利と義務があるんだ。先輩後輩の関係は、「親と子ども」の関係とも言えるね。」

私「でも私は大人だよ! 馬鹿みたい。どうしてDは自分が大人で、私が子どもだなんて考えられるの? 私たちは平等な、会社で働く同僚でしょう。」

彼「君は正しいよ。でも物事はそういうようにはいかないんだ。正直いって、彼は君をいじめてるんじゃない。まったく逆だ。君の言ったことからすると、彼は君に期待しているんじゃないかと思う。君を成長させるために厳しくしてるんだ。もし彼がほんとうに君をいじめたいなら、簡単な方法がいくらでもある。無視するとか、何も教えないとか、成績を悪くつけるようなね。もし彼の教育がいじめだと考えて、彼に反抗するなら、彼はほんとうに君をいじめるかもしれないよ。先輩の彼はそうする権力を持ってるから。そしたら本当に厄介なことになるよ。」

私「それなら私はどうすればいいの?」

彼「懸命に働くことだよ「。先輩の命令はまさにこれだ。もし間違ったら、それを認めて、謝り、すぐに対処するんだ。懸命に働いているふりをするんだ」

 

次の日、私はDにEメールを送った。私はあなたの厳しい教育と期待に感謝しています。ベストを尽くします(「一生懸命頑張ります!」)と。私はそのメールを会社を出る前、午後11時に送った。

私は一生懸命働いた。なぜそうするか、考えることをやめた。毎日残業をした。何も仕事がないときは、他の同僚がしているように、深夜まで残って一生懸命働いているふりをした。私はまさに他の人がしていることをした。

 

二ヶ月後、Dと私は社長に対する大事なプレゼンをした。私たちはとても褒められた。Dは社長に、このプレゼンは完全に私が自力で作ったのだと言った。彼が手伝ってくれたのだけど。

6ヶ月後、私はプロジェクトの特別報酬を受けた。Dと社長が私に推薦したのだ。職場にできた友人は、「Dが教育係でラッキーだったね」と言った。

2年後、二人の新人が職場に入った。私はもう新人ではなかった。だれも私に叫ばなかった。新人は教育係に厳しい厳しい「教育」を受けた。ときどき、残業のあとに彼らに焼き鳥とビールを奢って、彼らの先輩に対する愚痴や、仕事をしているふりをする「トリック」を教えてあげた。

 

質問に戻ろう。

「なぜ職場いじめが日本で蔓延しているのか?」

すでに優れた回答があるけれど、自覚的ないじめとして、私はこのことを加えたい。

「お前のためを思ってやっている」という厳しさと、権威主義

 

先輩には十分な自覚があるのだが、惨酷で意地悪にふるまう。後輩にとっては「いじめ」と変わらない。(そして先輩はいじめっ子となることの罪悪感を感じていることもある)

「親のような」教育は、封建的―家長制的システムがいまだに職場と学校に存在することを意味している。

厳しさは工芸品や技術を成功させたがけれど、もっとよい方法はないのだろうか?

 

かつて後輩であり、「いじめのような」状況に悩まされた先輩が、この「親のような」教育が必須だと考えるのであれば、どうぞどうぞ。みんなにとっての「優しい親」となってください。

 

この回答に対する反応 

Feifei Wangの反応。

私は中国の学校や職場にも、同じような「お前のために惨めな思いをさせてやっているんだ」というようなメンタリティがあると思う。でも私はそういうメンタリティは、ひどい態度やいじめ、虐待、ハラスメントを正当化するためにひどく歪に理想化されていると考える。

しばしば、「メンター」はただ新人を軽視することがあるひどい人間となる。それはただ自分がストレスを感じているからで、そのために他人を濫用し、攻撃したいだけに過ぎない。

私は行動に関するコードを確立する必要があると思うし、職場環境におけるそのような言動が許されるべきではないと思う。伝統がなんであろうとね。

 

Tony Fordyceの反応。

非常におもしろい説明だ。私は全面的に君の結論に賛成する。傷つけたり屈辱なくしても、同様の成果を得ることは可能だ。日本のシステムは、かつていじめに苦しんだ人々をも、いざ自分が新人たちの「メンター」となったときに野蛮化させる。日本ではそういった状況で、暴力によって人々が殺されたり(例:相撲の練習生)自殺することがある(例:数年前のバスケットボールチームのメンバー)。早く止めなければならない。

 

日本の企業文化は、職人文化というより軍隊文化だろう

 

「D」も「彼氏」もかなりイカれてるな~

 

と思った。

 

日本の職場ハラスメントは、

「職人文化」か?

 

それよりもずっとミリタリズムだと思うけど。

 

だって、日本の「職人」の人口なんてせいぜい5~20%だったけど、

大戦末期のミリタリズムはほぼ日本人の100%に影響を与えたよね。

 

日本の企業文化って、

 

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こっちではなく、

 

関連画像

 

こっちがより近いと思うけど。

 

カレン・ヴァン・ウォルフレンもこう書いている。

 

 

新入社員はみんな一斉に箒を手に道路掃除をさせられ、冷たい川につかり、あるいは山を行進して登らされ、屈辱的で、心身がへとへとになるようなことをやらされる。集団での徹底的な訓練や、互いに告白し合ったりと、文化人類学者ならこれぞ浄化、イニシエーションの儀式であると大喜びするような訓練の数々には、重要な目的がある。つまり軍隊の新兵訓練と同じで、個人の意思を打ち砕こう押しているわけだ。(「いまだ人間を幸福にしない日本というシステム」)

 

まあ、軍隊の新兵訓練はわかるよ。

 

新兵が勝手気ままにしたら「死ぬ」危険があるし、大勢の味方の命を危険にさらす恐れがある。

 

そりゃー鬼軍曹が以下のような暴言を吐いても、「お前のため」が通じる。 

 

「貴様らは人間ではない!両生類のクソをかき集めた価値しかない!」

「パパの精液がシーツのシミになり、ママの割れ目に残ったカスがお前だ!」

「セイウチのケツにド頭突っ込んで、おっ死ね!」 

(映画「フルメタル・ジャケット」より)

 

 

でも。

日本の会社員に「兵隊」みたいな規範がいるのかなあ。

 

 

「自分がいじめられてきたから、いじめてやる」という負の連鎖

 

以外の何ものでもないんじゃないかな……とおっさんは思いました。

 

日本の生産性が低いのは、「仕事しているふり」をしているから 

  

日本では成果をあげるのではなく、

長時間働くことが是とされる。

 

それは働くのが好きだからではない。

「そうしないといじめられるから」である……。

 

ということがよくわかった。

 

日本人は「ワーカホリック」「仕事好き」とか言われることがあるけど、

仕事が好きな奴なんて(ほとんど)いねえよ。 

 

怖くてびくびく震えてるだけなのさ。

 

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ちなみに「日本人の仕事演技」は

たびたび日本企業で働く外人が指摘していることだ。 

 

「成果より出勤を重視する態度(「皆勤賞」などによって植えつけられる)が問題」

「日本人はマジで仕事してない。仕事してるように見えて実際はおしゃべりしたり書類整理してる」

「日本人はワーカホリックなのではない。効率が悪すぎるだけだ」

「質より量を重視する」

(詳細は↓) 

 

mikuriyan.hateblo.jp