齟齬

社会とマイノリティの「齟齬」を描く御厨鉄のブログです。

なぜ日本は巨大暴力団があるのに犯罪率が低いのか?

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このカラパイアの記述を見たまえ。

日本は世界的に犯罪率が少ない国だという。

karapaia.com

 

多くの人がこの記事を見て、ああ、やはり日本は犯罪の少ない国なんだな、と感じたのではないか。私は「恥ずかしい!」と赤面してしまったが……。

スイス、ノルウェーデンマークアイスランドは幸福度ランキングのTOP4なんだよね。なるほど国民が幸せなら犯罪は少ないだろう。一方で日本は51位なんだから、不自然極まりない。

 

一方でこのような質問もある。

 

なぜ日本はもっとも低い犯罪率なのか、ヤクザのような組織犯罪とどう符合するのか?

How did Japan become the country with the lowest crime rate, and how does its organized crime, e.g., Yakuza, fit into this picture?

 

まさしくそれを私も考えていた。世界第二位の規模のマフィア組織(一位はロシアのマフィア、三位、四位はイタリアン)が存在するのに、なんで犯罪率が低いんだろう、と。

 

だが、私のブログを読んでいる人なら当然わかることで、警察がうんこたれなだけなのである。カラパイアの記事のネタ元は、そのうんこたれの作った統計データを盲信してるだけだ。

事情通のMartin Basinger氏は以下のように回答する(拙訳)。画像はMartin氏によるもの。

 

逆に君に聞きたい。

犯罪組織がはびこっていて、それに多くが支配されている。女性はストーカー、セクハラ、搾取の格好の的となり、家父長制の社会に反対できないほど恐怖に支配されている。警察権力は腐敗しており、賭博ビジネス(パチンコ)に関与している。

もしもそのような国を、外の世界に向かって、まったく事実に基づかない「優れた」イメージで描こうとするときにどうするだろうか?

 

答え:国の外聞を悪くするような犯罪活動を何であろうと隠し、偽装し、再定義する。

 

君の質問の前提にあるのは神話であって、実証的真実ではない。私はそのような日本の神話を繰りかえす人々は、実際にはこのような経験をしていると描写する:

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日本で実際の犯罪率が低いかどうかは絶対に証明されない。また、日本が自分のゴールポストを定義する限りは証明されないだろうし、秩序ある合法的な社会だと思われるためにゴールポストが移動する。

日本は他の国よりも優れていると見せるようなものなら何でもでっちあげる。コストや後先はお構いなしだ。たとえば、広く讃えられ、秘密警察のように働き、しばしば政府を手をつなぐようなマフィア(彼らはヤクザと呼ぶ)が、日本でのみ許容されている。それはもちろん彼らの犯罪が決して告発されないことを意味している(警察が組織犯罪に対処していると信じ込ませるための数件を除けば)。だから日本のすべての統計は、唖然とする数の組織犯罪を除外していることになる。この理由の大部分は、日本人の定義では、犯罪組織は犯罪をしないから、である。(もちろんイタリアや他のどんな国でも、組織犯罪は統計の一部になる)

 

他に、日本の犯罪に関するあらゆる統計を使い物にならなくする文化的な理由がある。それは犯罪を報告することに対するあまりに大きな社会的スティグマ(偏見)があるからである。セクハラのケースだけでなく、たくさんの事件がそうである。たとえば財布の窃盗などもそうだ。

日本文化では、もし君がそういった犯罪の被害者となったら、犯罪を犯した人と同様に欠点を持つと見なされる。道を歩いているとき、だれかが君の財布をスったとしても、君は騒ぎを起こさない。なぜなら人々は「君の落ち度」とか、「君の財布はスられていない」と考えるからである。

だから日本人は警察に被害届を出さない。それは彼らにとって、面目を失うことを意味するからである。そしてまた犯罪が統計から弾かれることになる――日本がまた勝ったね。

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マフィア/ヤクザが野放しになっていることの副作用がある。もし彼らとトラブっても警察は助けてくれないということだ。道で見かける日本の警察は、実は交通整理や、道案内、あるいは見せかけのためでしかない。

例えば、もし君がヤクザの経営する「銀行」から金を借りて、それを返さないでいると、たちまちたくさんの悪い出来事が起きる。暴力的な電話、君の住居への「訪問」、そして君の上司に君の悪口を言う、などなど(これらのハラスメント行為はほとんどの国では違法だが、日本ではそうではない)。それどころか肉体的な危害を加えることもある。しかし日本人は裁判へ行くこともないし、警察にもいかない。なぜなら彼らはよく知っているからだ――もし君が正しくても、ヤクザから目をつけられる方が危険ということを。だから君は黙ってなんとか超インフレの利子を払うか、君の娘をアダルトビデオに出演させるか(日本ではヤクザの営む系列のひとつである)、それか真夜中に街を離れて、新しい名前でどこか違うところへ行くかだ。これが被害届をださない一つの理由だ。

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これが数百年にわたる日本社会の仕組みだ――そしてアメリカが第二次大戦後、犯罪社会を塗りつぶそうとしたベニヤ板の間に合わせの民主主義は、日本人の求める国へと変えていない。たしかに法律と法廷、裁判官、そして警察がいたるところにある。しかし日本人であればだれでも、それらが実際には信用できない、「非日本人」によって比較的最近押しつけられた権威だと信じている。

 

長すぎた、まとめを書いておく――日本と他の国では、日本の権威的な統計(政府統計、組織統計)が根本から使い物にならないという違いがある。つまり君の質問の前提が不確かであるということだ。

 

私もMartin氏の意見とまったく同じである。これ以上ことさらに説明することはない。日本が「犯罪率の低い国」というのは幻想であるし、警察の捏造である。

 

検挙率も捏造してたしね。 

mikuriyan.hateblo.jp

 

うんこたれ学者のご紹介

話はそれるのだが、日本の低犯罪率の要因を分析するという日本犯罪社会学会の資料が転がっていたので引用しておく。日本の学者がいかに低レベルかがよく分かる資料である。

http://hansha.daishodai.ac.jp/meeting/08_symp_seika.pdf

筆者がこれまで参加した国際学会などで外国人研究者からしばしば、次のような疑問が発せられた。①わが国の犯罪統計に対する疑問である。つまり、正確に犯罪実態を示していないのではないか、というものである。つまり、実際には相当規模の暗数があり、実態を反映していないのではないか。しかし、暗数自体、おそらく他の諸国にも存在するし、わが国の警察活動自体、一定の評価を受けているのであるから、わが国固有の暗数問題があるとは思われない

②これも①と関連するが、実際には、犯罪が犯罪組織、つまりわが国の暴力団などによって処理されており、犯罪実数が表に出てきていないのではないかというものである。確かに、わが国の犯罪組織はつとに世界の研究者に知られており、その点と関連づけて議論されているフシがあるが、これも統計自体の信頼性を揺るがすほどの問題とは思われない

③わが国の低犯罪率を逆に他の社会問題と結びつけて議論されることもある。つまり、日本の人々は種々の非公的(インフォーマルな)統制によって日常生活の行動が拘束されており、確かに犯罪は少ないかもしれないが、犯罪を行う自由もないほどに窮屈な社会ではないのか。なるほど、欧米人の自由観はわが国とは異なり、また実際、わが国の学校にせよ、企業にせよ、有形無形の種々の規制、規則が多数存在することは認めざるを得ない。

 

長々と書いているけど、拓殖大学政経学部教授、ケンブリッジ大学犯罪学研究所研究員の守山正が言いたいのはこうだ。

  • 暗数はあるだろうけど、他の国にだってあるし、日本の警察は優秀と言われているから関係ない。
  • 暴力団はいるけど、統計に影響はない(根拠なし)。
  • 日本特有の文化のおかげだと思う!

 

あーあ、日本がまた勝ったね。

 

 

「日本は犯罪が少ない国」と信じたい人はそれでいい。

世界的に優秀な警察! という幻想を保ちたいのであれば、下の世界にとどまるべきだ。

 

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今なら守山センセーも一緒だ。