齟齬

社会とマイノリティの「齟齬」を描く御厨鉄のブログです。

なぜ日本人は清潔な身なりなのに、家の中は汚いのか

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事例1.執筆作業に取り組む日本近代を代表する作家

 

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事例2.家でくつろぐ日本を代表する漫画家。

 

この例はいきすぎだとしても。

日本の家はきたない!

 

私も仕事を辞めて実家に帰ったとき、家がゴミ屋敷化していて閉口したものだ。

問答無用に捨てまくったことにより、いまは快適に生活している。

 

なぜ日本人は服装にとても気をつけるのに家はちょっと散らかってるの?

Why do Japanese homes tend to look a bit messy while Japanese people usually pay a lot of attention on their outwards apparel (clothes)?

というQualaの質問に、日本の虚像をズバズバ斬りまくるMartin Basinger氏が回答。

 

以下拙訳。

 

最初に……君の観察に心から賛同させていただきたい。

君はとても礼儀正しい――「ちょっと散らかってる」だなんて。多くの日本人の家の、清潔さと整理整頓の危うい状況を表すためには、その言葉ではあまりに弱い。私はとてもいい給料をもらっていて、よく教育された(日本人規準で)大人の日本人の家にいったことがたくさんあるが、それらの生活条件はこのように言うしかない。

 

「ホーディング」。

(訳者注:ホーディング障害とは、居住空間において大量の物品を度を越して蒐集することを止められず、それにより著しい苦痛・不全を起こしているという行動パターン)

 

彼らは高価な、都心部のマンションに住んでいたが、床は投げ捨てられたレジ袋、雑誌、食品容器、脱ぎ捨てられた衣類でほとんど見えない。空箱が天井に届くほど溜められている。洗濯された服は壁にかけられていた。

 

ほとんどの西洋人が日本に滞在して経験することは、日本文化の「イメージ」と「現実」や「表」と「裏」の著しい違いに、認識の不一致を生むことである。

 

君はこの認知の不一致をもっている。なぜなら君は、個人のプライベートな状況を、公共でのふるまいから判断することができるような文化で慣れ親しんできたからだ。しかしそれは例外である。もしだれかが公共でのイメージを気にするとしたら、彼らのプライベートな生活もそれと違いはない、と想定することは問題ない。そこが精神分裂病者が演技している、精神病理的な状況にない限りは。

 

日本では、世界とその住人を案内してくれるそういった先入観が適用されない。ほんとうの日本の姿をかいま見るたびにその都度、閉められたドアの裏にある、隠されたものとその表面との完全な断絶にぎょっとさせられる。

第二次大戦後の経済成長がはじまったときから、日本人は自分自身ではない者―つまり勤勉で、たくさん働き、完璧に着こなした人間となるよう全力で努力した。君が東京や他の大都市で見るようなそういった人びとは、単に舞台で演技しているに過ぎず、外部の世界に取り繕っているのだ。

 

「私たち日本人を見たまえ、白人の君たちのようにスーツをきて、椅子に座り、スマートホンを持ち歩き、忙しそうにしている。君たちよりもな!」

 

東京下町の無名のロカビリー※のように、日本のビジネスマンは外面や見た目にきわめて注意する。なぜならそれしかできないからだ。

ほんとうに彼らを変えて世界で競う人びとのようにするとしたら、それは彼らの親しんだ快適なライフスタイルを完全に放棄することを意味する。

スーツをきてオフィスに長い時間いることが伝統的に快楽主義的な文化にはすでに巨大な努力なのだ。

だから、くつろげる彼らの家では、彼らはやりたいように生きることを固持する。床に座り、ボロいミッキーマウスのTシャツを着て、テレビの真正面で晩飯をとり、やかましいバラエティ番組に大笑いする。

レジ袋と脱ぎ捨てられた衣類の間で。

 

※ロカビリーとはこのような人びとのこと

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ホーディングの一例。

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Martin氏の発言はあいかわらず的確である笑

そしてナイフのように鋭い。

 

ちなみに、日本政府観光局が対外的にアピールする「日本の伝統的な家」は以下のようなもの。

 

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日本政府観光局がアピールする「Real Japan」。

”Rent a Traditional Japanese House and Experience the ‘Real Japan’”

「伝統的な日本の家を借りて本当の日本を体験しよう」とある。

 

……

 

うーん、素敵な「Real Japan」だ。

 

 

日本人の家が汚い理由はいろいろ考えられる。

 

働きづめで家にいる時間が少ない。

働きづめで家を掃除する気力がない。

ゴミ出しが非合理的で手間がかかる。

部屋が狭くて物を置く場所がない。

食品や消耗品類の梱包材の多さ。

モデルとなるような「クリーンで素敵な室内」が身近にない。

お祭り騒ぎのような雑多なものを好む性質(楽天のホームページをみよ)。

 

などなど……。

 

 

でもMartin氏の言うように、

 

ちょっと部屋が汚い方が安心するメンタリティって

 

たしかにあるかもしれないなあ……と思った。

 

……掃除しよう。